赤い流れ星3

ルカ(聖夜月ルカ)

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side 野々村美咲

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考えてみれば、ここは元々某会社の保養所だったわけだけど、まさか温泉まであったとは…
その時の名残でか、浴室は男湯と女湯に分けられていて、美幸さんが恥ずかしいとおっしゃるから、私達は時間をずらして入浴をすませた。
 本当はもっとゆっくりと浸かりたい程、広くて良いお湯だったので少し残念だったけど仕方がない。
お風呂上りには、可愛らしい浴衣までが用意されていて、ますます旅館気分が盛りあがる。
 男性達はゆっくりと温泉を堪能された様子で、浴衣姿で出て来られたアッシュさんとマイケルさんは日本人以上に素敵に着こなされていて、青木さんはたとえようがない位、素敵で、私には眩し過ぎて想わず顔を伏せてしまった。



 (青木さんってどちらかといえば洋風なイメージが強いのに、意外と和服も似合われるんだわ。)

ここに来たおかげで、普段なら知ることの出来ない青木さんの一面をたくさん知れた気がして、私は誘って下さった美幸さんに心の中で手を合わせた。



 「ところで…朝はやっぱりパンが良いじゃろ?
トーストはバターとマーマレード、どっちが良いかのう?」

 「バターとマーマレード?
マーガリンとジャムじゃなくて?」



 (………え!?)



なんだろう…
おじいさんと美幸さんの、そんななんでもない会話に私の鼓動は急に速さを増した。



 (どうして?
 今の話が一体なんだっていうの?
なぜ、私はこんなに……)



なぜ…なぜ…なぜ…なぜ……?




 (………あ…!)



 私はようやく気が付いた。
なぜ、今の会話にこんなに心がざわめくのかを…



そう……
このやりとりは……



小説の中での、美幸さんと賢者のおじいさんの会話だったということを思い出したから…!


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