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病は気から?

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「ああ…痛た……」

なんとも言えず頭が痛い。
頭だけじゃない。 
腰も痛いし、歯も痛い。
そのせいか、気分も塞ぎがちだ。



こんなことになってる原因には心当たりがある。
最近、天気予報で良く耳にする『秋雨前線』
こいつのせいに違いない。
秋雨前線が張り出したということは、涼しくなる前触れでもあるけれど、こいつのせいで不安定な天気が増え、所謂、気象病というやつにやられてしまうんだ。



「そろそろ紅葉のシーズンだよな。
今年は北海道でも行かないか?
多分、日本で一番早くに紅葉が見られるぜ。」

彼氏の公平は、すこぶる体が丈夫だ。
最近の秋雨前線にも全く影響されてない。



「はあ、旅行?
そんな元気あるか。
具合悪くて、毎日、仕事に行くだけで精一杯だっつーの。」

「なんでそんなに具合が悪いんだよ。」

「秋雨前線のせいだってば!」

「見かけによらず、やわな体してるんだなぁ。」

「見かけによらなくて悪かったな!」



ただでさえ気分が良くないのに、公平のせいでますます気分が悪くなった。







「しゅっぱ~つ!」

「は?何言ってんの?
あ、なになに!?」

ある日、公平がやって来て、まるで私を拉致するみたいに連れ出した。
公平が向かったのは空港だった。



「な、何なのよ!?」

「だから、旅行だよ。紅葉を見に北海道に。」

「えーーっ!」


頭に来たけど、私はいつの間にか飛行機に乗せられて…



「わぁ~~絶景だね。」

空港からバスを乗り継ぎ、いつの間にか紅葉の名所に着いていた。
確かに綺麗だ。
それに、山のせいか空気が澄み切っていて気分が良い。



「気分はどう?」

「そ、そりゃあ、悪くは無いけど。」

「このあたりには、もう秋雨前線がいないから。」

「えっ!?そうなの?」



気のものなのか、本当にそのせいなのか、なんだか妙に元気が出ていた。
いつもの腰痛や頭痛もない。
おかげでとても気分が良くなり、私たちはあちこち観光してまわった。
なんとその距離30000歩!



「お腹すいたね。」

夕方になり、バスでホテルに向かう。



「あれ?予約したホテルはどこだ?
確かバス停から徒歩5分のはずだけど。」

「こんな時は…」

私は地図アプリを開いた。
GPSのおかげで現在地がわかる。



「今、ここだから、ホテルはこっちだね。」

すぐにホテルはみつかった。
美味しい夕飯をいただき、広い温泉に浸かり、私の気象病は跡形もなく完治した。
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