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FIGHT!
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「今年もやるのか…」
「はぁ……」
今日は、我が社の運動会だ。
うちの社長は、昭和のスポ根ドラマを愛する人熱い男だ。
「健全な精神は、健全な肉体に宿る!」
そんなスローガンを掲げるような会社だから、毎年運動会がある。
皆、嫌がってはいるが、出なかったら、社長の機嫌が悪くなる。
下手したら、減給にもなるから、皆仕方なく出てくる。
支給されたスポーツウェアがこれまたダサい。
胸には各自の苗字、背中には会社名が入っている。
抽選で、赤組社組に振り分けられ、紅白で競い合う。
買ったチームには金一封が出るから、皆、けっこう真剣だ。
玉入れ、騎馬戦、大玉ころがし…懐かしの競技が続く。
「次は、借り物競走です。」
そのアナウンスに会場がわく。
借り物競争は点数が高いから、頑張らなければならない。
今回は俺もこの競技に参加する。
「よーい、どん!」
カードの入った箱に走る。
俺が掴んだものは、「バーコード」だった。
バーコードって…
(あ!)
「部長!ちょっと来て下さい!」
「え?な、何なんだ?」
俺は、部長を連れてゴールに走った。
今のところ、一番だ。
「バーコードを連れてきました。」
「え!?で、でも……」
皆んなの視線が部長の頭に注がれた。
「ば、バーコードだと!失礼な!」
俺は、そこにあったバーコードリーダーを部長の頭にかざした。
「ピッ!」
バーコードリーダーは反応した。
「Okです。吉井さん、1着で
す!」
やった!
部長は怒ってるが、かまうもんか。
2番目に来たのも、俺と同じ赤組の木下だった。
地味な顔の女性をつれている。
「お題は?」
「埴輪です。」
「えっ!?」
確かに、その女性は埴輪そっくりだ。
「ひど~い!」
木下は、女性から強烈な平手打ちを受けた。
だが、埴輪はOKとされたから、問題なしだ。
おかげで今回は赤組が勝った。
そして、その次はパン食い競走だ。
一番盛り上がる競技だ。
「絶対に取ってやるぜ!」
赤組、白組、各5人ずつが出場する。
ジャンプして届くかどうかわからないところに、ひとつのパンがぶら下がっている。
「よーい、どん!」
10人の男達がパンを目掛けて走っていく。
屈強な男達の肉弾戦だ。
この競技は、戦いながらひとつのパンを奪い合う激しい競技だ。
武器さえ持たなければ、あとは何をしても構わない。
流血なんて当たり前。
今までには骨折をした者は数え切れない。
観客も熱くなり、大きな声で応援する。
勝ったのは、ダンプというニックネームの白組の選手だった。
まるでレスラーみたいな体格だ。
血を流した二人の選手が、担架で運ばれて行った。
ラストは、リレー。
これまた盛り上がる競技だ。
白組に、逃亡中のハンター並に足の早い奴がいて、白組がぶっちぎりの勝利だった。
結局、今年は白組の勝ちだった。
金一封はもらえなかったが、いやいや来たわりには、帰りは割と爽快な気分になっていた。
「はぁ……」
今日は、我が社の運動会だ。
うちの社長は、昭和のスポ根ドラマを愛する人熱い男だ。
「健全な精神は、健全な肉体に宿る!」
そんなスローガンを掲げるような会社だから、毎年運動会がある。
皆、嫌がってはいるが、出なかったら、社長の機嫌が悪くなる。
下手したら、減給にもなるから、皆仕方なく出てくる。
支給されたスポーツウェアがこれまたダサい。
胸には各自の苗字、背中には会社名が入っている。
抽選で、赤組社組に振り分けられ、紅白で競い合う。
買ったチームには金一封が出るから、皆、けっこう真剣だ。
玉入れ、騎馬戦、大玉ころがし…懐かしの競技が続く。
「次は、借り物競走です。」
そのアナウンスに会場がわく。
借り物競争は点数が高いから、頑張らなければならない。
今回は俺もこの競技に参加する。
「よーい、どん!」
カードの入った箱に走る。
俺が掴んだものは、「バーコード」だった。
バーコードって…
(あ!)
「部長!ちょっと来て下さい!」
「え?な、何なんだ?」
俺は、部長を連れてゴールに走った。
今のところ、一番だ。
「バーコードを連れてきました。」
「え!?で、でも……」
皆んなの視線が部長の頭に注がれた。
「ば、バーコードだと!失礼な!」
俺は、そこにあったバーコードリーダーを部長の頭にかざした。
「ピッ!」
バーコードリーダーは反応した。
「Okです。吉井さん、1着で
す!」
やった!
部長は怒ってるが、かまうもんか。
2番目に来たのも、俺と同じ赤組の木下だった。
地味な顔の女性をつれている。
「お題は?」
「埴輪です。」
「えっ!?」
確かに、その女性は埴輪そっくりだ。
「ひど~い!」
木下は、女性から強烈な平手打ちを受けた。
だが、埴輪はOKとされたから、問題なしだ。
おかげで今回は赤組が勝った。
そして、その次はパン食い競走だ。
一番盛り上がる競技だ。
「絶対に取ってやるぜ!」
赤組、白組、各5人ずつが出場する。
ジャンプして届くかどうかわからないところに、ひとつのパンがぶら下がっている。
「よーい、どん!」
10人の男達がパンを目掛けて走っていく。
屈強な男達の肉弾戦だ。
この競技は、戦いながらひとつのパンを奪い合う激しい競技だ。
武器さえ持たなければ、あとは何をしても構わない。
流血なんて当たり前。
今までには骨折をした者は数え切れない。
観客も熱くなり、大きな声で応援する。
勝ったのは、ダンプというニックネームの白組の選手だった。
まるでレスラーみたいな体格だ。
血を流した二人の選手が、担架で運ばれて行った。
ラストは、リレー。
これまた盛り上がる競技だ。
白組に、逃亡中のハンター並に足の早い奴がいて、白組がぶっちぎりの勝利だった。
結局、今年は白組の勝ちだった。
金一封はもらえなかったが、いやいや来たわりには、帰りは割と爽快な気分になっていた。
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