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「じゃあ、行って来るな。」
「はい、気を付けてね。」
出かける夫に手を振って見送った。
彼の土曜日の楽しみは、バッティングセンターに行くことだ。
運動不足解消とストレス発散のためだという。
ホームランが出た日なんて、わざわざ電話してくれる程、無邪気に喜ぶ。
ホームランはかなり難しく、滅多に出ないらしいけど。
本当に良い人と巡り会えたと思う。
ギャンブルもせず、お酒も飲まず、趣味といえば、週一のバッティングセンターだけ。
特にこだわることもないし、穏やかな性格だから、喧嘩をすることもない。
難があるとしたら、苗字が少し変わってることくらいだ。
夫の苗字は『月見』という。
なかなかロマンチックな綺麗な苗字だと思ったのだけど、私の名前は早紀だから、月見早紀となり、「えっ!?月見酒?」なんて間違われたりする。
息子は大悟だから、「月見団子」というニックネームを付けられてしまった。
だから、息子は、月見という苗字が嫌いらしい。
ちなみに、夫は月見正信だけど、子供の頃は、「月見うどん」というニックネームだったらしい。
だけど、夫はそんなこと少しも気にしていない。
嫌でもなかったらしい。
本当に、おおらかと言うのか、なんというのか。
そういうわけだから、十五夜は少し複雑な気分になる。
明日の夜が十五夜だ。
息子は、その日のことを『共食いデー』と呼んでいる。
月を眺めながら、お酒を飲んで、お団子を食べて、月見うどんを食べるからだ。
「ねぇねぇ、妹か弟が出来たら、どんな名前にする?」
以前、息子がそんなことを訊ねたことがあった。
「どんな名前が良いと思う?」
「う~ん、そば?
他は…あ、バーガーかな?」
「そんな変な名前、付けられないわ。」
「じゃあ、何て付けるの?」
「さぁ、きっと普通の名前よ。」
そう言ったけど、実は決めていた。
それは『爽』という名前だ。
月見うどん、月見酒、月見団子に月見草…
そして、その爽は、実はもう私のお腹にいる。
息子はまだ知らないけれど。
爽は、その名前を気に入ってくれるだろうか?
そんなことを考えたら、自然と笑みがこぼれた。
「はい、気を付けてね。」
出かける夫に手を振って見送った。
彼の土曜日の楽しみは、バッティングセンターに行くことだ。
運動不足解消とストレス発散のためだという。
ホームランが出た日なんて、わざわざ電話してくれる程、無邪気に喜ぶ。
ホームランはかなり難しく、滅多に出ないらしいけど。
本当に良い人と巡り会えたと思う。
ギャンブルもせず、お酒も飲まず、趣味といえば、週一のバッティングセンターだけ。
特にこだわることもないし、穏やかな性格だから、喧嘩をすることもない。
難があるとしたら、苗字が少し変わってることくらいだ。
夫の苗字は『月見』という。
なかなかロマンチックな綺麗な苗字だと思ったのだけど、私の名前は早紀だから、月見早紀となり、「えっ!?月見酒?」なんて間違われたりする。
息子は大悟だから、「月見団子」というニックネームを付けられてしまった。
だから、息子は、月見という苗字が嫌いらしい。
ちなみに、夫は月見正信だけど、子供の頃は、「月見うどん」というニックネームだったらしい。
だけど、夫はそんなこと少しも気にしていない。
嫌でもなかったらしい。
本当に、おおらかと言うのか、なんというのか。
そういうわけだから、十五夜は少し複雑な気分になる。
明日の夜が十五夜だ。
息子は、その日のことを『共食いデー』と呼んでいる。
月を眺めながら、お酒を飲んで、お団子を食べて、月見うどんを食べるからだ。
「ねぇねぇ、妹か弟が出来たら、どんな名前にする?」
以前、息子がそんなことを訊ねたことがあった。
「どんな名前が良いと思う?」
「う~ん、そば?
他は…あ、バーガーかな?」
「そんな変な名前、付けられないわ。」
「じゃあ、何て付けるの?」
「さぁ、きっと普通の名前よ。」
そう言ったけど、実は決めていた。
それは『爽』という名前だ。
月見うどん、月見酒、月見団子に月見草…
そして、その爽は、実はもう私のお腹にいる。
息子はまだ知らないけれど。
爽は、その名前を気に入ってくれるだろうか?
そんなことを考えたら、自然と笑みがこぼれた。
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