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憧れの甲子園

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「フレー!フレー!〇〇!」



憧れの甲子園で、力の限り、声を張る。
型も間違えることなく、キメまくる。
灼熱の炎天下、学ランを着て動くのはとても辛い。
でも、やっと来られた甲子園だもの。
倒れるわけにはいかない。
私は気合いを入れ、声を張り続けた。



6月から始まった高校野球地方大会、我が高が勝ち進む度に、私達、女子応援部の練習にも力が入っていった。
そして、ついに、我が校が甲子園に行くことが決まった。
もちろん、私達も応援に行くが、問題は遠征費だ。
部員12名全員でバイトをして遠征費を稼いだが、その総額ではどう頑張っても6名しか行けない。
団長と副団長は決定として、あと4名をどうするのか。
全員が、野球部を応援したい熱い気持ちを持ち、全員が全力で練習していた。



「応援に行きたい気持ちは、皆、同じだと思う。
だから、くじを作った。」

団長は、瓶に入った割り箸をみんなの前に掲げた。



「この中の4本だけ、赤く塗られている。
それを引いた4人が甲子園に行く。
恨みっこなしだ!いいな?
じゃあ、みんな、割り箸を選べ!」



10名の部員は、各々割り箸を握った。
赤を引く確率は、40パーセントだ。
それが高いのか低いのかはわからないけれど、私は心の底から祈った。
どうか、赤が出ますように、と。



「みんな、割り箸を持ったか?」

「はいっ!」

「じゃあ、いくぞ!」

団長が瓶を下に降ろした。



「わぁっ!」

「や、やった!」



赤を引けた者も、なにもなかった者も、どちらもが泣いていた。
私は赤を引き、皆と一緒に泣いた。



私は声の限り、我が校を応援する。
来られなかった6名の分まで叫び続ける!



甲子園の喧騒にも負けず、私達の応援の声は、球場内に響き渡った。
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