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病み梅雨
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「しつこいなぁ…」
これで、一体、何日目の雨だろう?
確かに梅雨だけど、こんなに雨の続く梅雨は今まであっただろうか?
毎日毎日、休みなく雨は降り続いた。
「あぁ、もう、どうすんのよ!」
主婦の一番の悩みは、洗濯物だ。
家の中は、あっちもこっちも洗濯物がぶら下がっていた。
ただでさえ高い湿度が、洗濯物のせいで、さらに高くなっていた。
高いのは湿度だけではない。
雨なのに、気温は常に夏日を越えている。
部屋の中は蒸し暑く、じめじめしている。
そんな中、私はなぜだか急に昔の彼氏のことを思い出した。
けっこう長く付き合った人だった。
だけど、煮えきらず、結婚する気もあるんだかないんだか。
あまりに腹が立って、私から別れを切り出した。
あぁ…確かあれもこんな梅雨の日だった。
「この止まない雨は、僕の涙だと思って…」
そんなことを言ってたっけ。
嫌なことを思い出したせいで、ますますイライラが募る。
(あぁ、そういえば…)
こんな雨の日、おつかいに行って、ぬかるみに足を取られて転んだことがあった。
全身どろだらけになって、買ってきたものもぐちゃぐちゃになって、帰ったら母親に怒られて…
「こんなことになるんだったら、最初から私が買いに行けば良かった!」
そう言って、母は出ていった。
泥だらけの私は玄関に立ち尽くし、どうすれば良いのか途方に暮れて…
とにかく、迷惑をかけてはいけないと、玄関で服を脱いで、それらを洗濯機に放り込んだ。
あぁ、また洗濯もの…
まるで、万国旗。
どこを見ても、家の中は洗濯ものだらけ。
どうか、早く、梅雨が終わって。
そうだ、明日はてるてる坊主を作ろう。
洗濯ものに負けないくらい、大量に。
部屋にぶら下がるてるてる坊主を思い浮かべたら、なんとも言えず、幸せな気分を感じて微笑んだ。
これで、一体、何日目の雨だろう?
確かに梅雨だけど、こんなに雨の続く梅雨は今まであっただろうか?
毎日毎日、休みなく雨は降り続いた。
「あぁ、もう、どうすんのよ!」
主婦の一番の悩みは、洗濯物だ。
家の中は、あっちもこっちも洗濯物がぶら下がっていた。
ただでさえ高い湿度が、洗濯物のせいで、さらに高くなっていた。
高いのは湿度だけではない。
雨なのに、気温は常に夏日を越えている。
部屋の中は蒸し暑く、じめじめしている。
そんな中、私はなぜだか急に昔の彼氏のことを思い出した。
けっこう長く付き合った人だった。
だけど、煮えきらず、結婚する気もあるんだかないんだか。
あまりに腹が立って、私から別れを切り出した。
あぁ…確かあれもこんな梅雨の日だった。
「この止まない雨は、僕の涙だと思って…」
そんなことを言ってたっけ。
嫌なことを思い出したせいで、ますますイライラが募る。
(あぁ、そういえば…)
こんな雨の日、おつかいに行って、ぬかるみに足を取られて転んだことがあった。
全身どろだらけになって、買ってきたものもぐちゃぐちゃになって、帰ったら母親に怒られて…
「こんなことになるんだったら、最初から私が買いに行けば良かった!」
そう言って、母は出ていった。
泥だらけの私は玄関に立ち尽くし、どうすれば良いのか途方に暮れて…
とにかく、迷惑をかけてはいけないと、玄関で服を脱いで、それらを洗濯機に放り込んだ。
あぁ、また洗濯もの…
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どこを見ても、家の中は洗濯ものだらけ。
どうか、早く、梅雨が終わって。
そうだ、明日はてるてる坊主を作ろう。
洗濯ものに負けないくらい、大量に。
部屋にぶら下がるてるてる坊主を思い浮かべたら、なんとも言えず、幸せな気分を感じて微笑んだ。
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