245 / 435
ナイスキャッチ
1
しおりを挟む
(大丈夫、大丈夫。)
体育館の裏で、私は大きく深呼吸した。
高2で初めての告白は遅いかもしれないけれど、今まで好きな人がいなかったんだから、仕方がない。
彼に、メモを渡すことは成功した。
メモには、『放課後、体育館の裏に来てください。』と、それだけ書いた。
彼は来てくれるだろうか?
(き、来た!)
あぁ、心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
「遅れてごめん。」
「う、ううん。」
「何か特別な用でもあるの?」
「あ、あの…こ、これ。」
私は紙袋を差し出した。
中にはチョコと手編みの手袋が入っている。
「え…?」
「あ、あの、バレンタインデーの…」
「あ、あぁ、そういうことか。
わざわざ呼び出すから何かと思ったよ。」
「ご、ごめんなさい。」
確かに、皆、教室で渡してた。
わざわざ呼び出したのは失敗だったかな?
「ううん、構わないよ。
ありがとう。」
「こ、こちらこそ。」
それだけで、三島君は戻って行った。
私が勇気を振り絞って告白したのに、たったそれだけ。
いや、正確には告白はしていない。
手紙を書いてみたけど、なかなかうまく書けなくて、だから、手紙を渡すのはやめた。
でも、バレンタインデーにチョコを渡すということは、私が彼のことを好きだってわかるはず。
わかっててあの素っ気ない態度…つまり、彼は私のことをなんとも思ってないっていうことだ。
(……仕方ないよね。)
彼はけっこう人気者で、私はクラスでも目立たないタイプ。
最初からうまくいくはずなんてなかったんだ。
悲しいというよりは、火が消えたような気分だった。
*
(えっ!?)
次の日、三島くんが私のプレゼントした手袋を付けていた。
「あ、岡田。これ、やるよ。」
「えっ?」
三島君が投げて寄越したのは、小さなのど飴。
のど飴は、私の手の中にうまくおさまった。
「すっごくスースーするぞ。」
「そ、そうなんだ。」
もしかして、脈はある?なんていう、厚かましい想いが一瞬胸を過ぎった。
(馬鹿だな、ただののど飴なのに…)
でも、私にとっては、すごく大切なのど飴。
体育館の裏で、私は大きく深呼吸した。
高2で初めての告白は遅いかもしれないけれど、今まで好きな人がいなかったんだから、仕方がない。
彼に、メモを渡すことは成功した。
メモには、『放課後、体育館の裏に来てください。』と、それだけ書いた。
彼は来てくれるだろうか?
(き、来た!)
あぁ、心臓が口から飛び出してしまいそうだ。
「遅れてごめん。」
「う、ううん。」
「何か特別な用でもあるの?」
「あ、あの…こ、これ。」
私は紙袋を差し出した。
中にはチョコと手編みの手袋が入っている。
「え…?」
「あ、あの、バレンタインデーの…」
「あ、あぁ、そういうことか。
わざわざ呼び出すから何かと思ったよ。」
「ご、ごめんなさい。」
確かに、皆、教室で渡してた。
わざわざ呼び出したのは失敗だったかな?
「ううん、構わないよ。
ありがとう。」
「こ、こちらこそ。」
それだけで、三島君は戻って行った。
私が勇気を振り絞って告白したのに、たったそれだけ。
いや、正確には告白はしていない。
手紙を書いてみたけど、なかなかうまく書けなくて、だから、手紙を渡すのはやめた。
でも、バレンタインデーにチョコを渡すということは、私が彼のことを好きだってわかるはず。
わかっててあの素っ気ない態度…つまり、彼は私のことをなんとも思ってないっていうことだ。
(……仕方ないよね。)
彼はけっこう人気者で、私はクラスでも目立たないタイプ。
最初からうまくいくはずなんてなかったんだ。
悲しいというよりは、火が消えたような気分だった。
*
(えっ!?)
次の日、三島くんが私のプレゼントした手袋を付けていた。
「あ、岡田。これ、やるよ。」
「えっ?」
三島君が投げて寄越したのは、小さなのど飴。
のど飴は、私の手の中にうまくおさまった。
「すっごくスースーするぞ。」
「そ、そうなんだ。」
もしかして、脈はある?なんていう、厚かましい想いが一瞬胸を過ぎった。
(馬鹿だな、ただののど飴なのに…)
でも、私にとっては、すごく大切なのど飴。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる