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夢
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「ママ、見て!
あのうさぎさん、すっごくダンスがうまいよ!」
「本当ね。」
ふと耳に入った親子の声に、僕の心はさらに弾んだ。
空までも飛んでいけそうな軽い体で、軽やかなステップを踏んだ。
今年の仕事始めは、デパートの屋上でのアニマルダンスだった。
今日の着ぐるみはピンクのうさぎだ。
明け方には雪が降るくらい寒い日だったけど、なんと今回の着ぐるみはまだ新しく、しかも、裏起毛のものだったんだ。
だから、寒さもかなりしのげる。
何ヶ月も前から練習して来たうさぎダンスを、ステージの上で踊った。
他人から見たら、馬鹿馬鹿しいことかもしれない。
うさぎの着ぐるみを着て、踊るなんて。
見ているのは、子供とその保護者だ。
そんなに真剣にやることなんてないと思うかもしれない。
だけど、これは僕の夢なんだ。
大学に入ったばかりのその年、友人に誘われて、僕はゆるキャラの着ぐるみを着て、チラシを配るバイトを始めた。
季節は初夏。
着ぐるみの中は暑くてたまらず、さらに汗臭い。
僕を誘った友人は、三日でバイトをやめた。
僕もやめたい気持ちはあったけど、せっかく始めたことだし、子供達の笑顔を見ていたら、やめる気にはなれなかった。
僕は会社の人に気に入られ、また新たなバイトに入った。
何度か着ぐるみを着た後、ヒーローショーの仕事が入った。
所謂、スーツアクターというものだ。
僕は五人の正義のヒーローのうちの一人だった。
セリフはない。
ただ、体を動かすだけだ。
悪者に殴られて倒れたり、逆に悪者をやっつけたり。
見ている子供たちは、僕の動作の一つ一つに反応する。
歓声をあげたり、拍手をしたり。
純真な目をキラキラさせて…
大学を卒業してからは、スーツアクターの会社に入り、本格的に仕事を始めた。
両親には心配されたけど、僕は本気だ。
これからも、たくさんの子供達を笑顔にしたい。
あのうさぎさん、すっごくダンスがうまいよ!」
「本当ね。」
ふと耳に入った親子の声に、僕の心はさらに弾んだ。
空までも飛んでいけそうな軽い体で、軽やかなステップを踏んだ。
今年の仕事始めは、デパートの屋上でのアニマルダンスだった。
今日の着ぐるみはピンクのうさぎだ。
明け方には雪が降るくらい寒い日だったけど、なんと今回の着ぐるみはまだ新しく、しかも、裏起毛のものだったんだ。
だから、寒さもかなりしのげる。
何ヶ月も前から練習して来たうさぎダンスを、ステージの上で踊った。
他人から見たら、馬鹿馬鹿しいことかもしれない。
うさぎの着ぐるみを着て、踊るなんて。
見ているのは、子供とその保護者だ。
そんなに真剣にやることなんてないと思うかもしれない。
だけど、これは僕の夢なんだ。
大学に入ったばかりのその年、友人に誘われて、僕はゆるキャラの着ぐるみを着て、チラシを配るバイトを始めた。
季節は初夏。
着ぐるみの中は暑くてたまらず、さらに汗臭い。
僕を誘った友人は、三日でバイトをやめた。
僕もやめたい気持ちはあったけど、せっかく始めたことだし、子供達の笑顔を見ていたら、やめる気にはなれなかった。
僕は会社の人に気に入られ、また新たなバイトに入った。
何度か着ぐるみを着た後、ヒーローショーの仕事が入った。
所謂、スーツアクターというものだ。
僕は五人の正義のヒーローのうちの一人だった。
セリフはない。
ただ、体を動かすだけだ。
悪者に殴られて倒れたり、逆に悪者をやっつけたり。
見ている子供たちは、僕の動作の一つ一つに反応する。
歓声をあげたり、拍手をしたり。
純真な目をキラキラさせて…
大学を卒業してからは、スーツアクターの会社に入り、本格的に仕事を始めた。
両親には心配されたけど、僕は本気だ。
これからも、たくさんの子供達を笑顔にしたい。
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