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夏旅

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「わぁ~!海だよ、キラキラ!」

「すごいねぇ~!」

私達は、車窓を流れる景色に、声を上げた。



今年で何回目の旅行だろう。
私達は、毎年お盆休みに旅行に行く。
普段はたまにLINEでやり取りをするくらいなのだけど、夏は必ず二人で旅行だ。
今年は北陸の方に向かっている。



「それにしても今年も暑いね。」

「でも……」

「甲子園よりはマシ!」
「甲子園よりはマシ!」

二人の超えが重なり、私達は顔を見合わせて笑った。



そう、私達が知り合ったのは甲子園。
二人ともまだ大学生で、かちわり氷を売っていた。
屋根のない球場に、太陽の日差しが容赦なく照りつける。
その下で、高校野球に熱狂する観客席を私達は声をはりあげ、かち割り氷を売りまくった。
通う大学は違ったけれど、同い年だったことから、私達は急速に仲良くなっていった。
数年後には、二人ともバイトはやめたけど、夏には一緒にいないとどうも調子が出ないという間柄になっていたから、二人で旅行に行くことにしたのだ。
この先、どちらかが、或いは二人ともが結婚しても、旅行は続けようと誓っている。



「ねぇねぇ、着いたらまずはかき氷食べようよ。」

「そうだね。私、宇治金時にしようっと。白玉も付いてると嬉しいな。
あ、でも、ホテルの近くに甘味処あったっけ?」

麻子は、早速、スマホで甘味処を検索する。
私達の旅はいつも行き当たりばったり。
行き先だけ決めて、後は好きなように見て回る。
毎回面白い発見があり、私達はその方法を気に入っている。
今年も楽しい旅になりそうだ。
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