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ダンボールに囲まれて
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「あぁ!大変!
年越し蕎麦、食べそびれた!」
「今から急いで食べよう!」
私はお湯を沸かし、年越し蕎麦用に買ったカップ麺に注いだ。
待つ時間もそこそこに、私達は蕎麦をすする。
「10分程、過ぎちゃったね。」
「仕方ないよ。」
テレビでは、ゆく年くる年が流れていた。
見慣れたお寺のリアルタイムが中継されている。
「もう2022年なんだね。」
「こんな慌ただしい年明けはは初めてだよ。」
私達は顔を見合わせて笑った。
「カップ麺でもけっこう美味しいね。」
「そうだね。電気ケトル、まだ詰めてなくて正解だったな。」
確かにその通りだ。
引っ越し準備で、鍋はもうダンボールに詰めたから、カップ麺にしたのだけれど、お湯のことはすっかり忘れていた。
ケトルまで詰めてたら、食べられないところだった。
「ねぇねぇ、初詣はどうする?」
「行っとこうよ。
これからのこと、神様にお願いしよう。」
雅紀が意外と信心深いことにちょっと驚いたけど、私にとっては嬉しい驚きだった。
そういえば、雅紀と初詣に行くのは初めてだ。
お正月はいつも実家に帰っていたから。
とりあえず、明日は雅紀の実家に、そして、明後日は私の実家に行くことになっている。
両家の顔合わせもまだだけど、各両親への挨拶だけは何とか済ませておこうということだ。
今更、反対はないだろうけど、やはり緊張する。
「あ~!明日、着ていく服はどこ?」
「え?どんなの?」
「黒いニットのワンピースよ!」
「見なかったような気がするけど。」
「あのあたりに出しといたのに。
ないってことは、もう詰めたんじゃない?
どうしよう!今夜中にみつけないと、明日、着ていく服がない。」
「服なんてなんでもいいよ。
今着てるそれで良いよ。」
「そんなわけにはいかないでしょ!」
いい加減なことを言う雅紀に腹が立ち、思わず声を荒らげてしまった。
正月早々、喧嘩なんてしたくないのに。
結局、明日、どこかで買うことに決まり、落ち着かない気分のまま、その晩は眠った。
年越し蕎麦、食べそびれた!」
「今から急いで食べよう!」
私はお湯を沸かし、年越し蕎麦用に買ったカップ麺に注いだ。
待つ時間もそこそこに、私達は蕎麦をすする。
「10分程、過ぎちゃったね。」
「仕方ないよ。」
テレビでは、ゆく年くる年が流れていた。
見慣れたお寺のリアルタイムが中継されている。
「もう2022年なんだね。」
「こんな慌ただしい年明けはは初めてだよ。」
私達は顔を見合わせて笑った。
「カップ麺でもけっこう美味しいね。」
「そうだね。電気ケトル、まだ詰めてなくて正解だったな。」
確かにその通りだ。
引っ越し準備で、鍋はもうダンボールに詰めたから、カップ麺にしたのだけれど、お湯のことはすっかり忘れていた。
ケトルまで詰めてたら、食べられないところだった。
「ねぇねぇ、初詣はどうする?」
「行っとこうよ。
これからのこと、神様にお願いしよう。」
雅紀が意外と信心深いことにちょっと驚いたけど、私にとっては嬉しい驚きだった。
そういえば、雅紀と初詣に行くのは初めてだ。
お正月はいつも実家に帰っていたから。
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「見なかったような気がするけど。」
「あのあたりに出しといたのに。
ないってことは、もう詰めたんじゃない?
どうしよう!今夜中にみつけないと、明日、着ていく服がない。」
「服なんてなんでもいいよ。
今着てるそれで良いよ。」
「そんなわけにはいかないでしょ!」
いい加減なことを言う雅紀に腹が立ち、思わず声を荒らげてしまった。
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結局、明日、どこかで買うことに決まり、落ち着かない気分のまま、その晩は眠った。
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