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待つ人
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(どうしよう……)
ついさっき、日付が変わり、24日になった。
クリスマスイブだ。
結局、雅紀からの連絡はなく、私から連絡することもなかった。
内心ではすごく焦っていたのだけど、行動を起こすことも出来ず、ただひたすらに、雅紀からの連絡を待っていた。
だけど、無駄だった。
やっぱり、雅紀は怒ってるんだ。
(もうおしまいだね…)
私は枕を濡らしながら、眠れない夜を過ごした。
*
(休めば良かった…)
仕事帰りの町には、クリスマスケーキらしき箱や、プレゼントが入ってるであろう紙袋を持った人たちが溢れていた。
みんな、今夜は楽しいクリスマスを過ごすんだ。
なのに、私はひとりぼっち。
こんなことなら、女子会に混ぜてもらった方が良かったかもしれない。
でも、私は信じてたから…
きっと、雅紀は連絡をくれるって。
だから、女子会の誘いは断った。
多少は見栄もあったのかもしれない。
私には彼氏がいるから、クリスマスは彼氏と過ごすの。
そんなつまらない見栄が…
私って、本当に馬鹿だな…
こんな辛い想いをするのなら、あの時、素直になれば良かった。
後悔してももう遅い。
重い足をひきずって、私は家路に着いた。
寂しさに押しつぶされそうな気分だった。
(……え?)
家の前に誰かいる。
赤い服を来て髭を生やして。
……サンタだ!
「メリークリスマス!」
私に気付いたサンタが声を上げる。
サンタなんて、本当にいるわけがない。
私は小3の時から、知っていた。
今、目の前にいるのは…
「雅紀…」
「違うよ、サンタだよ。」
「いいからとりあえず入ってよ。恥ずかしいじゃない。」
私は雅紀を家の中に引き入れた。
「……何も無いわよ。」
「大丈夫だよ。ケーキとチキンとシャンパン持って来たから。
あ、ピザもあるよ。」
そう言って、雅紀は袋から次々に食べ物を取り出した。
私は黙って、食器を並べた。
内心は嬉しくてたまらなかった。
けれど、私は何も言えず…
「メリークリスマス!」
私達はグラスを合わせた。
シャンパンの炭酸が喉を刺激する。
「私の帰りが遅かったら、どうするつもりだったの?」
「いつまでだって待つつもりだったから。」
「泊まりだったら、どうするのよ。」
「それでも待つよ。」
雅紀の瞳が細くなる。
「これ、プレゼントだよ。」
手渡されたのは小さな箱。
蓋を開けた私は、そこにあった指輪を見て、堪えきれずに涙を流した。
ついさっき、日付が変わり、24日になった。
クリスマスイブだ。
結局、雅紀からの連絡はなく、私から連絡することもなかった。
内心ではすごく焦っていたのだけど、行動を起こすことも出来ず、ただひたすらに、雅紀からの連絡を待っていた。
だけど、無駄だった。
やっぱり、雅紀は怒ってるんだ。
(もうおしまいだね…)
私は枕を濡らしながら、眠れない夜を過ごした。
*
(休めば良かった…)
仕事帰りの町には、クリスマスケーキらしき箱や、プレゼントが入ってるであろう紙袋を持った人たちが溢れていた。
みんな、今夜は楽しいクリスマスを過ごすんだ。
なのに、私はひとりぼっち。
こんなことなら、女子会に混ぜてもらった方が良かったかもしれない。
でも、私は信じてたから…
きっと、雅紀は連絡をくれるって。
だから、女子会の誘いは断った。
多少は見栄もあったのかもしれない。
私には彼氏がいるから、クリスマスは彼氏と過ごすの。
そんなつまらない見栄が…
私って、本当に馬鹿だな…
こんな辛い想いをするのなら、あの時、素直になれば良かった。
後悔してももう遅い。
重い足をひきずって、私は家路に着いた。
寂しさに押しつぶされそうな気分だった。
(……え?)
家の前に誰かいる。
赤い服を来て髭を生やして。
……サンタだ!
「メリークリスマス!」
私に気付いたサンタが声を上げる。
サンタなんて、本当にいるわけがない。
私は小3の時から、知っていた。
今、目の前にいるのは…
「雅紀…」
「違うよ、サンタだよ。」
「いいからとりあえず入ってよ。恥ずかしいじゃない。」
私は雅紀を家の中に引き入れた。
「……何も無いわよ。」
「大丈夫だよ。ケーキとチキンとシャンパン持って来たから。
あ、ピザもあるよ。」
そう言って、雅紀は袋から次々に食べ物を取り出した。
私は黙って、食器を並べた。
内心は嬉しくてたまらなかった。
けれど、私は何も言えず…
「メリークリスマス!」
私達はグラスを合わせた。
シャンパンの炭酸が喉を刺激する。
「私の帰りが遅かったら、どうするつもりだったの?」
「いつまでだって待つつもりだったから。」
「泊まりだったら、どうするのよ。」
「それでも待つよ。」
雅紀の瞳が細くなる。
「これ、プレゼントだよ。」
手渡されたのは小さな箱。
蓋を開けた私は、そこにあった指輪を見て、堪えきれずに涙を流した。
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