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半分こ

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「じゃあ、今日で戦争はおしまい。
これからはまた仲良くやっていきましょう。」

「そうだね。」



私たちは、和解出来たお祝いにワインを酌み交わした。



私達は、結婚してまだ一年も経たない新婚夫婦。
職場は違うが、共働きだ。
私と彼の月給はほぼ変わらない。
だから、家事も雑用も分担してやることに決めていた。
だけど、ある時、私は体調を崩して家事が出来ないことがあった。
彼は気にしなくて良いと言って、私の代わりに家事を片付けてくれたし、看病もしてくれた。
だけど、しばらくしてから、その時、家事を休んだ分を振り替えてくれって言い出した。
私達の三ヶ月に及ぶ戦争は、それが原因だったのだ。



その日から、私達は一切話さなくなった。
どうしても必要なことはLINEでやりとりをした。
私は客間に陣取っていた。
家でもほぼ顔は合わせなかった。
お互いが意地を張って家事をしなかったから、一時はゴミ屋敷のようになっていた。
さすがに嫌になり、私がゴミを捨てたら、その次の日、彼が茶碗を洗っていた。
そんなことから、少しづつ歩み寄り、本日やっと終結の運びとなったのだ。



不思議なことに、その間、離婚は考えなかった。
揉めはしたけれど、やはり、私は彼のことを愛しているのだと思う。



「それにしてもあなた、随分焼けたわね。」

「今年は暑い日が多かったからね。」

私はエアコンの効いたオフィス内での仕事だけど、彼は屋外での仕事だから、夏は疲れることはわかっている。
だからこそ、彼は少しでも家事を減らしたかったんだろう。
何もこんな長い間、揉めることは無かったのに。



「なんか、腹減ったな。」

「そうね。でも、最近はあんまり買い物にも行ってなかったから…」

やはり、冷蔵庫はすっからかんだった。



「あ、ラーメンがあった。」

パントリーの片隅に、インスタントラーメンがひと袋あった。



「ひと袋か~」

「分けたら良いじゃない。」


私はラーメンを作った。
今日はどっちが家事をする日か忘れたけれど、そんなことはどうでも良かった。



二人で分けたラーメンは、物足りないといえば物足りなかったけど…
気持ちだけは妙に満ち足りていた。
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