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パスケース(いて座)

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「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど…」

「なんですか?」

「最近…なんだか、皆、変じゃない?」

「えっ!?へ…へ…変って、何がですか?」

私はそう言ってとぼけたけれど、やはり、袴田さんは私達の作戦になんとなく気付いていたのだ。
一体、どうすれば良いのかと、私は焦った。



「何がって…
とにかく、皆の態度がおかしい。
妙に優しくなったし…その反面、僕によそよそしくする社員も出て来た。
それに、今まで何度断ってもしつこく僕を合コンに誘ってた友達がぴたっと誘わなくなったんだ。」

それは初耳だった。
私達は、袴田さんの秘密を漏らすような事は絶対にしない…
でも、そんなことになってるってことは、誰かが言ったってことで…と、なると……一番あやしいのは田村君!?



(あんにゃろーーーー!)



私の心にめらめらと怒りの炎が燃えあがった。




「袴田さん、そんなこと気にする事なんてないですよ!
袴田さんが誰を愛そうと、それは袴田さんの自由です!
私達は、皆、袴田さんのことを応援しています!
誰も偏見なんて持ってませんから…」

「……滝沢君…話が見えないよ。
君は一体何のことを言ってるの!?」

「隠さなくて良いんですよ。
私達、もう知ってるんですから!」

「知ってるって何を…?」

袴田さんはとぼけるばかりで、なかなか本当のことを話そうとはしなかった。
その様子が妙に気の毒で、私は袴田さんの心の重しを少しでも軽くしてあげたい一心で、知っていることをすべてぶちまけた。



「な…なんだって…」

袴田さんは目を丸くして私をじっとみつめてた。

 
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