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週刊誌(しし座)

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(な…なによ、これ!)



夜が更け、ベッドに入り、もらって来た週刊誌を開いた私は、思わず、我が目を疑った。
なぜならば、そこに書かれていた記事は、芸能人についての記事ではなく、近所の人や会社の人のことばかりだったのだから。
載っている画像も目のあたりを隠してあるが、それが誰なのかはすぐにわかった。



(一体、どういうことなのよ!)

知ってる人のプライバシーを侵害することは、後ろめたさもあるものの、一面識もない芸能人よりも興味は強く感じた。
驚きから覚めた私は、むさぼるようにその雑誌を読み耽った。



(まさか、あの人が!)

(えっ!そうだったの!?)

(信じられない!)



 真面目でおとなしそうな女子社員が夜は風俗で働いているということや、近所でもセレブとして有名な奥様が、実は貧しい家の出身で詐欺師まがいのことをして今の地位を築いた事、不倫の現場、学歴詐称…
様々なことがことこまかに書いてあり、その内容や画像の様子から、それは作り事ではなく嘘・偽りのない真実のことだと感じられた。
不倫記事の画像等は、ラブホテルとおぼしき一室のベッドで絡まっている二人が映し出されているのだから、疑いようがない。



(……明らかに盗撮よね…
犯罪じゃない…こんなの出版して大丈夫なのかしら?
……ま、私はこの雑誌を作ったわけでもなんでもないし、読んだだけだから問題はないと思うけど…)



面白さと同時にいいようのない怖さをも感じながら、私はとうとう朝まで一睡もせず、週刊誌を読み漁っていた。



(……ここに書かれていることはおそらくほとんどが真実だと思うけど…
だけど、一体何のために?
こんな取材をして、印刷して、いろいろな経費がかかってるだろうけど、こんなのが流通出来るはずはないわ。
しかも、どうして私の知ってるような人のことばかりなんだろう?
地域によって違うターゲットを取材してるのかしら?
でも、そんなことをしたら膨大な経費と人員が必要なはず…
だったら、なぜ……)



昨夜はつい週刊誌にのめりこんでしまったけど、冷静になって考えれば考える程、薄気味の悪さは募った。
私にはネタになるようなことはないから良いようなものの、こういうことをしている者と関わったらなにがあるかわからない。
つくづく、住所を教えなくて良かったと私は胸を撫で下ろした。 
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