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日曜日のデート

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「あ、優香、見て見て!あそこに桜が咲いてるよ!」

「え!?……もう、やだ。
あれは桜じゃなくて梅よ!」

「へぇ、そうなんだ?
でも、よく似てるね。」

(いやいや、そんなに似てないし。
梅と桜はなかなか間違えないよ。)

私の彼、祐介は、おおらかというのかなんというのか、なんでもわりと適当。
でも、憎めない性格なんだ。



「やっぱり、優香の言う通りだったね。
桜はまだ咲いてないんだね。」

「そうね。多分、桜は来週あたりからじゃないかなぁ。」

日曜日にはよく近所をぶらぶらする。
まだ結婚してないカップルのデートにしては、ムードがない。
でも、彼はこんな風に、二人で他愛ない会話をしながら散歩するのが好きみたいだから仕方がない。



「あ~、可愛い花だね。確かに桜とは違うね。」

梅の木の近くに来て、彼はそんなことを言った。
彼はなんでも素直に認める。
そこは良いところだと思う。



「梅が咲いたら次はさく…」

「あ!優香!うぐいすだ!」

祐介が指さした先には、鮮やかなうぐいす色の小鳥が止まってた。



「すごいよ、優香!
僕、初めてうぐいすを見たよ。」

「あのね、祐介。あれはうぐいすじゃなくて、メジロ。
ほら、目の周りが白いでしょ?」

「あ、本当だ!
へぇ~、あんなにうぐいすっぽいのに、メジロなんだ。」

祐介は感心したように頷いて、愛しげにメジロを見上げた。
彼のそんな横顔を見ていると、なんだか胸がじんわりと熱くなる。



やっぱり、私は祐介のことが好きなんだろうな。
だからこそ、こんな散歩デートにも文句も言わずついてきてしまうんだろう。



「うぐいすは、なかなか人前には姿を表さないみたいだよ。
メジロより体も小さいし、色も地味みたい。」

「優香は本当に物知りだね。」

「そんなことないよ。
それに、私もまだうぐいすは見たことないし。」

「そっか~
いつか、二人でうぐいすが見られたら良いね。」

「……そうだね。」

見上げた空は、抜けるような青空だった。
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