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おばあちゃん

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「さぁ、ここに針をさすんだよ。」

「ええっ!豆腐に?マ、マジ?」

「さぁさぁ。」

「う、うん。」

私はおばあちゃんに言われるままに、豆腐に折れた針を刺した。
なんでも、これは、針供養というものらしい。



娘のバッグを縫う時、私はおばあちゃんに教えを乞うた。
子供のバッグなんて簡単だろうと思ってたけど、今まで、家庭科くらいしかやったことのない私には、けっこう難しいものだった。
そもそもミシンも持ってなかったから、おばあちゃんの家で使わせてもらったんだけど、ポインセチアの柄の生地はけっこう厚くて目が詰まってて、私は何本もミシン針を折ってしまった。



七年前に母が亡くなり、こういうことは、おばあちゃんにしか頼れなくなった。
今までの私は仕事ばかりにかまけていて、家事を疎かにしていせいかもしれない。
そんな私が、なぜだか結婚して専業主婦になり、暇さえあれば私はこうしておばあちゃんの家に来て…



おかげ様で、料理もだいぶ覚えたし、子育てについてもいろいろと助けてもらった。
おばあちゃんがいなかったら、結婚生活もこんなにうまくいかなかったかもしれない。



「ねぇ、ねぇ、おばあちゃん…この豆腐、これからどうするの?」

私はこたつの上のみかんをむきながら、おばあちゃんに訊ねた。



「感謝を込めて、土に埋めるんだよ。」

「へぇ、そうなんだ。」

おばあちゃんといると、本当にいろんなことを教えてもらえる。



(いつまでも元気で、長生きしてね。)



私は心の中でそう祈った。
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