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スノーランドへようこそ!

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「今日も大盛況だな。」

 「はい、半年先まで予約が詰まってます。」

 「な、俺の狙い通りだっただろ?」

 「はい、まさかこれほどまでウケるとは、考えてもみませんでした。」

 若い男は、腕を組み、満足そうな顔で眼を細めた。
 男の視線の先には、はしゃぎまわる子供たち、そして子供のように顔を綻ばせる大人たちがいた。



 「不思議なもんだな。ただ冷たいだけのものなのに、なんであんなにみんなを楽しませることが出来るんだろうな?」

 「きっと、他にはないからじゃないでしょうか?
 雪を楽しめるのはここだけですから。」



そう…地球で雪が降ることは遥か昔になくなった。
 温暖化が進み、砂漠と化した地球には、住む者さえ少なくなった。
 雪のことは、歴史として学ばれるだけで、現実の雪を見た者はこの世にはもういない。



そこに目を付けたのが、この男だった。
 月に雪遊びの出来る施設『スノーランド』を建設した。
 大きなドームを作り、その中で人工の雪を降らせることに成功したのだ。
そのためには途方もない金がかかったが、月に移住して来ている者は富裕層の者ばかり。
 高額な入場料にも関わらず、この施設は大盛況。
 投資した額はあっという間に回収出来た。



 集まった人々は、過去の人間が遊んでいたというスキーやスノボ、雪合戦などに興じた。
なにしろ古い文献だから、その遊び方が正しいのかどうかはわからないが、そんなことはたいした問題ではない。
 皆は十分に楽しんでいるのだから。



 「先週から出したかまくらカフェの方はどうだ?」

 「はい、それも順調です。
 特に若い女性と子供連れにウケてます。」

 「ふふ、これも俺の狙い通りだな。」

 「さすがとしか言えませんね。」

 部下のお世辞に気を良くした男は、にやりと笑った。
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