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冬の日の想い

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「温かいねぇ…」

 温かいというよりは熱い焚き火の前で、私はふとそんな独り言を洩らしていた。



 成人式の帰り道、ふとみつけた赤い炎。
 周りには晴れ着姿の女の子やスーツ姿の男の子が輪を作っていて、私もそっとその輪に加えてもらった。



 空はどんよりと曇っている。
だけど、雨が降らなかっただけ良かった。
そんなことを考えながら、火に当たる。
時折、ぱちぱちという音を立てながら、白い灰が舞い上がる。



 (……あれ?)



 良く見ると、灰に交じって小さな雪が降っていた。
 道理で寒いはずだ。



 (美鶴…成人、おめでとう…
私達、ようやく大人になったんだね…)


 美鶴は、私の双子の姉…
7歳の時に肺炎で亡くなった…
そう、今日みたいに小雪の舞う寒い冬の日だった…


私はその後も生き続け、ようやく成人の日を迎えた。
 二十歳の誕生日はとうに過ぎたし、急に大人になったという感覚もないけれど、それでも今日という日がなにか大切な日のように思えた。


それはきっと美鶴のことがあるから…


(美鶴…
私はこれからも生きていくよ、あなたの分まで…)


 空の暗さは少しも変わらなかったけど、それでもどこか清々しい気持ちを感じた。 
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