122 / 217
side 野々村美咲
1
しおりを挟む
*
青木さんの顔が、なんだか驚いたような…今まで見たことのないようなおかしな表情に変わった。
(わ、私…何か変なこと言っちゃった…!?)
「ご、ごめ……」
いつもの癖で、ついお詫びの言葉を言いかけて、そこで私ははたと気付いた。
ついさっき、青木さんにその癖をやめるように言われたばかりだということを…
焦った私は、咄嗟にお茶に手を伸ばし、飲み込んだ途端に激しくむせた。
「だ、大丈夫ですか、野々村さん!」
「は…は、はひ…」
青木さんは、咳き込む私の背中を叩いたりさすったりしてくれた。
「も、もう大丈夫…ですから…
ご、ごめ……」
またごめんなさいを言いそうになった私は、慌てて両手を口にあてがった。
その仕草の意味することに気付いたのか、青木さんの私の背中をさする手が不意に停まり、そして、次の瞬間、青木さんは声を上げて笑い始めた。
「の、野々村さんって…本当に面白い人ですね。」
青木さんはなんだかものすごく笑ってて…
私は恥ずかしかったのに、青木さんがあまりにも豪快に笑うからその笑いに釣られてつい同じように笑ってしまってた。
久し振りだ…
この家に、こんな笑い声が響いたのは…
こんなに笑ったのは本当にひさしぶり…雪が降ってた私の心の中に突然春がやって来て、ぱーっと花が咲いたような気分だった。
そんな風に笑えたのは、青木さんのおかげ。
嬉しい…
青木さんに出会えて…本当に良かった…!
そう想うと胸の奥が熱くなって来て、私の顔は一瞬にして泣き顔に変わってしまった。
「の、野々村さん!
今度はどうしたんです!?」
「……う、嬉しかったんです。
私……こんなに笑えたことがとても嬉しくて……
ご、ごめんなさい。」
(あ……!)
ついにごめんなさいを言ってしまった。
……でも、青木さんはそのことを少しも咎めない。
「……俺も嬉しいですよ。」
(えっ!?)
青木さんがどういう意味でそう言われたのかはわからなかったけど、私はその一言でますます胸が熱くなった。
青木さんの顔が、なんだか驚いたような…今まで見たことのないようなおかしな表情に変わった。
(わ、私…何か変なこと言っちゃった…!?)
「ご、ごめ……」
いつもの癖で、ついお詫びの言葉を言いかけて、そこで私ははたと気付いた。
ついさっき、青木さんにその癖をやめるように言われたばかりだということを…
焦った私は、咄嗟にお茶に手を伸ばし、飲み込んだ途端に激しくむせた。
「だ、大丈夫ですか、野々村さん!」
「は…は、はひ…」
青木さんは、咳き込む私の背中を叩いたりさすったりしてくれた。
「も、もう大丈夫…ですから…
ご、ごめ……」
またごめんなさいを言いそうになった私は、慌てて両手を口にあてがった。
その仕草の意味することに気付いたのか、青木さんの私の背中をさする手が不意に停まり、そして、次の瞬間、青木さんは声を上げて笑い始めた。
「の、野々村さんって…本当に面白い人ですね。」
青木さんはなんだかものすごく笑ってて…
私は恥ずかしかったのに、青木さんがあまりにも豪快に笑うからその笑いに釣られてつい同じように笑ってしまってた。
久し振りだ…
この家に、こんな笑い声が響いたのは…
こんなに笑ったのは本当にひさしぶり…雪が降ってた私の心の中に突然春がやって来て、ぱーっと花が咲いたような気分だった。
そんな風に笑えたのは、青木さんのおかげ。
嬉しい…
青木さんに出会えて…本当に良かった…!
そう想うと胸の奥が熱くなって来て、私の顔は一瞬にして泣き顔に変わってしまった。
「の、野々村さん!
今度はどうしたんです!?」
「……う、嬉しかったんです。
私……こんなに笑えたことがとても嬉しくて……
ご、ごめんなさい。」
(あ……!)
ついにごめんなさいを言ってしまった。
……でも、青木さんはそのことを少しも咎めない。
「……俺も嬉しいですよ。」
(えっ!?)
青木さんがどういう意味でそう言われたのかはわからなかったけど、私はその一言でますます胸が熱くなった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
学園首席の私は魔力を奪われて婚約破棄されたけど、借り物の魔力でいつまで調子に乗っているつもり?
今川幸乃
ファンタジー
下級貴族の生まれながら魔法の練習に励み、貴族の子女が集まるデルフィーラ学園に首席入学を果たしたレミリア。
しかし進級試験の際に彼女の実力を嫉妬したシルヴィアの呪いで魔力を奪われ、婚約者であったオルクには婚約破棄されてしまう。
が、そんな彼女を助けてくれたのはアルフというミステリアスなクラスメイトであった。
レミリアはアルフとともに呪いを解き、シルヴィアへの復讐を行うことを決意する。
レミリアの魔力を奪ったシルヴィアは調子に乗っていたが、全校生徒の前で魔法を披露する際に魔力を奪い返され、醜態を晒すことになってしまう。
※3/6~ プチ改稿中
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
無関係だった私があなたの子どもを生んだ訳
キムラましゅろう
恋愛
わたし、ハノン=ルーセル(22)は術式を基に魔法で薬を
精製する魔法薬剤師。
地方都市ハイレンで西方騎士団の専属薬剤師として勤めている。
そんなわたしには命よりも大切な一人息子のルシアン(3)がいた。
そしてわたしはシングルマザーだ。
ルシアンの父親はたった一夜の思い出にと抱かれた相手、
フェリックス=ワイズ(23)。
彼は何を隠そうわたしの命の恩人だった。侯爵家の次男であり、
栄誉ある近衛騎士でもある彼には2人の婚約者候補がいた。
わたし?わたしはもちろん全くの無関係な部外者。
そんなわたしがなぜ彼の子を密かに生んだのか……それは絶対に
知られてはいけないわたしだけの秘密なのだ。
向こうはわたしの事なんて知らないし、あの夜の事だって覚えているのかもわからない。だからこのまま息子と二人、
穏やかに暮らしていけると思ったのに……!?
いつもながらの完全ご都合主義、
完全ノーリアリティーのお話です。
性描写はありませんがそれを匂わすワードは出てきます。
苦手な方はご注意ください。
小説家になろうさんの方でも同時に投稿します。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
王都を逃げ出した没落貴族、【農地再生】スキルで領地を黄金に変える
昼から山猫
ファンタジー
没落寸前の貴族家に生まれ、親族の遺産争いに嫌気が差して王都から逃げ出した主人公ゼフィル。辿り着いたのは荒地ばかりの辺境領だった。地位も金も名誉も無い状態でなぜか発現した彼のスキルは「農地再生」。痩せた大地を肥沃に蘇らせ、作物を驚くほど成長させる力があった。周囲から集まる貧困民や廃村を引き受けて復興に乗り出し、気づけば辺境が豊作溢れる“黄金郷”へ。王都で彼を見下していた連中も注目せざるを得なくなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる