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side 慎太郎

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「ってことは、もしかしたら……」

 「あ!長兵衛さん、このきのこはなんていうものですか?
すごく香りが良いですね。」

 俺はどうでも良いことを言って、美戎の話を遮った。
こういうことは、今、話しちゃまずいだろう。
 長兵衛さんだけに話さなきゃ…
どうせ、長兵衛さんには元の世界に帰る方法も聞かなきゃならないんだし、皆が眠った頃にでも、話をしようと考えてた。
きっと、美戎は、早百合の先祖のことを話そうとしたんだと思う。
 俺の先祖と一緒に来た陰陽師のことを……



(美戎…詳しい話は後だ。)

 (……わかった。)



やがて、夕食会は穏やかに終わった。
 酔っぱらわない程度にお酒を飲んだせいか、気まずかった飛び天狗達ともけっこう打ち解けられた。
 最初は、周りがヨウカイばかりで…それも悪い噂を聞いていたやさぐれヨウカイ達だし、奴らは人間を憎んでるって聞いてたからちょっと怖いなって思ったりもしてたけど、終わる頃にはそんな気持ちはすっかりなくなっていた。
 考えてみれば、こっちに来てから、人間とばかり接してて、こんなにヨウカイと親密に食事をしたことはなかった。
あ……天国ではあるにはあったけど……
それはともかく、みんな、素直で良い奴ばかりだった。
 子供達も皆から可愛がられ、とても機嫌が良さそうだ。



 (帰る前に良い思い出が出来て良かった……)



 「長兵衛さんちょっと……」

 俺達は、その晩、長兵衛さんの屋敷に泊めてもらうことになってたので、夜遅くに折り入って話したいことがあると伝えておいた。
 長兵衛さんと話すことを考えると本当に胸が躍る。
やっと元の世界に帰れるんだから…!
ゆかりさんの手前、あまり嬉しそうな顔は出来ないから、俺はひたすら平静を装い、夜が更けるのを待った。



そして、ついにその時はやってきた……!
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