タイトル未定

ｎｅｗ ｌｉｆｅ

１０

＊



 「じゃあ、カードを持ってこい。」

 夕飯が済むと、那月さんはすぐさまそんなことを言った。



 「カードって…オラクルカードですか？」

 「おまえの占いのカードだ。」

 「は、はい。」



え？那月さん、何をするつもりなんだろう？
よくわからないままに、私は部屋からカードを持って戻った。



 「じゃあ、ここに座れ。」

 那月さんは私をソファーに座らせ、その向かいに腰を降ろした。
そして、小さな咳払い。



 「俺についてみてくれ。」

 「え？」

 「おい、客に対して、その顔はなんだ？
もっと、威厳のある顔は出来ないのか？」



 （あ……）



その言葉で、私はようやく理解した。
 那月さんは、さっき、占いの勉強を手伝うと言った。
これが、勉強なんだ。
いつかのウェイトレスさんの練習同様、那月さんは占いのシミュレーションをやる気なんだ。



 「え、えっと。い、いらっしゃいませ。」

 私がそう言うと、那月さんは眉間に皺を寄せた。



 「いらっしゃいませは、何か違う…
ようこその方が良くないか？」

 「は、はい。
では…ようこそ。」

 「......違う！やっぱり、ようこそじゃないな。
う～ん...」

 那月さんは、難しい顔をして頭をひねる。