ステルラ・トランスウォランス～ぼくとロジャーとメテオール

本編

１１

そして、肉に近寄るとふんふんとにおいを嗅ぎ、小さな赤い舌で舐め始めた。
やがて、その肉がうまいとわかったのか、美味しそうに食べていた。



「どうだい？ロジャー。
肉は気に入ったか？」

『……確かに美味いよ。
今まで食べたものの中で一番美味いよ。』

今、ロジャーはどんな顔をしてるのだろうか？
笑顔なんだろうか？
猫の表情はわからないけれど、笑顔だったら嬉しいな。



やがてロジャーは肉を食べ終え、のんびりと顔を洗っていた。
猫が顔を洗うのは、食べたものを気に入った時にする行動だと聞いたことがある。
良かった。
明日は何を食べさせてやろうか。



「ロジャー、今夜はここに寝たらどうだ？」

僕は、ベッドに彼を招いた。
うちのと比べると、あまりフカフカはしていないが、それでもそれなりには暖かいはずだ。



『いいよ、ここで。』

ロジャーは、床に座ったままそう言った。



「今夜は寒いから。」

僕は彼を抱き上げ、羽毛布団の上に寝かせた。



「上で良いか？それとも中に入るか？」

『これは、何なんだ？』

「寝具だよ。寝る時に寒くないように作られたものだ。」

『座ってるだけで、じんわりと暖かくなってくる。』

ロジャーは、ゴロゴロと喉を鳴らし、体を丸めていた。