若旦那の恋は千鳥足

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イケメンでお金持ちでお医者さんで…
幸せそのものみたいな人だと思ってた柚希さんに、こんなに深い闇があったなんて、びっくりだよ。
どうしたら良いんだろう？
私に出来ることなんて、何かあるんだろうか？
なんとも気まずい沈黙が流れた。



「つまらない話を聞かせてごめんね。
あぁ、そうそう。
だからね。
僕は、もう実家には帰りたくないんだ。
だから、結婚するなら、東京の人にしようと思った。
このまま、東京に住みたかったから。
そんなことを考えてた日に、たまたま君と出会った。
君は東京の人だった。
……それで、結婚しようって言ったんだ。」



そうだったんだ。
柚希さんが、ある意味、運命だって言ったのがわかるような気がするよ。
東京で、東京の人に会うのはそんなに低い確率ではないけれど、柚希さんにはそのちょっとした偶然が、運命的に感じられたんだね。



「全く酷い話だよね。
ごめんね。」

「い、いえ。
今までわからなかったことがわかって良かったです。」

「今、話してて、改めて思ったよ。
僕は最低の人間だね。」

「そんなことありません。」

「僕は、東京の人なら誰でも良いと思ったんだよ。
まともじゃないよ。
結婚相手をそんなことで決めるなんて。」