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ルカ(聖夜月ルカ)

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093 : 平穏な街

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 「ねぇ、リュック…マルタンさんのことなんだけど…」

「マルタンの何なんだ?」

「倒れたのは何回だったかしら?」

「……まさか、クロワさん!
マルタンは本当はどこか身体が悪いんじゃ…!」

「違うわ。
そのことなら本当に大丈夫よ。先生に聞いてきたんだから安心して。
ただ…マルタンさんのあの症状はもしかしたら、記憶のことに関係してるかもしれないの。」

「記憶に…?それは、マルタンの記憶が戻りかけてるってことなのか?
でも、記憶が戻るなんて、そんなことがあるのか?」

「それはよくあることなのよ。
何かがきっかけになって急にすべてを思い出したり、ごく一部だけを思い出したり…
でも、マルタンさんにはまだこのことは言わないで。
あんまり気にしすぎると、何でもないことでもおかしな症状を引き起こしてしまうかもしれないから。」

リュックは神妙な顔で頷いた。



「精神的なものっていうのは意外と大きいもんなんだな。
そうだな…確か、マルタンが初めて倒れたのは、収穫祭の町のレストランで…あ、違う!
その前にユベールが具合が悪くなった時に倒れたって言ってたな。
あの時は、ユベールのことで手が一杯だったから俺は気付かなかったんだが…そうそう、あれが最初だ。
それから、ジャクリーヌの日記を読んだ後…」

「ユベールが具合が悪くなった時の状況っていうのはどんな感じだったの?」

「俺がユベールをおぶって、その後ろからマルタンとオデットさんが歩いてきてた。
 町が近付いて来た頃、ユベールが急に血を吐いて、それを二人に知らせて俺とオデットさんはとにかく町に走ったんだ。
で、マルタンがなかなか来ないと思ったら、倒れたって聞いたから、血を見てびっくりしたのかと思ってたんだ。」

 「そうね。
小さな子が血を吐くのを見たら、繊細な人はショックを受けるかもしれないわね。
レストランの時も、ご主人のお話がちょっと可哀想な内容だったわよね。
ジャクリーヌの日記は…そりゃあもちろんショックよね。」

「ってことは、マルタンは大きなショックのせいで気を失ったってことなのか?」

「……そうね。
先生は、なにか共通点のようなものがなかったかっておっしゃってたけど…
そう考えてみると、あなたの言う通り、共通点はショックなことがあったってことだけよね。
とにかく、明日、今の話を先生に伝えてみるわ。」

 
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