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ルカ(聖夜月ルカ)

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077 : 咆哮の獅子

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「ごめんなさい、でも、心配をかけたくなくて…
マルタンさんにも言うつもりはなかったのよ。
でも、マルタンさんが…」

「そういえば、ユベールのこともフランクさんは誰にも言わなかったらしいが、マルタンは気付いてたらしい。
あいつは妙な所でカンが良いんだな。」

「そうなの…」

「それで、マルタンはなんで出て行ったんだ…?!
昨日、何があったんだ?」

「それは…」

クロワは昨日の出来事をリュックに話して聞かせた。



「マルタンの奴、なんだってそんな嘘を…」

「私にあそこでの作業をやめさせようとされたんだわ。
もうあの場所に、陽炎の化石がないということはわかってる。
でも、まさかそれはご自分がみつけて、ユベールのために使ったとは言えなくて、それで…」

「そうか…
確かにそうだよな。
クロワさんが、知り合いのために必死になってることを知ってて、ユベールにやったなんて言えないよな。
でも、マルタンは…ユベールのことを見過ごすことも出来なかったんだろうな…」

クロワはこみあげる涙をそっと指で拭った。



「マルタンさん…辛い選択をされたんだわ。
そうよね…誰だって、あんな小さな子が不治の病で苦しんでると知ったら…
知らん顔なんて出来なくて当たり前だわ。
そんなことだったら、すべてを打ち明けてくだされば良かったのに…」

 「そうだぜ!
マルタンもあんたも水臭い!
一緒に、旅をしてるんだから、俺にも話してくれなきゃ困るぜ!
皆が、本当のことを話してたら、こんなにこじれずに済んだんだ!!」

「ごめんなさい…リュック…
そうだわ!こんなことをしてる場合じゃないわ!
すぐにマルタンさんを追いかけましょう!」

「追いかけるったって、あんた、足がまだ…」

「大丈夫よ!
私の身体はそんなにやわじゃないわ!
すぐに出発しましょう!!」

二人はすぐに荷物をまとめ、町を出た。
ユベール親子にも会いたい気持ちはあったが、それよりも早くマルタンを探したい気持ちの方が強かった。

引き返すよりは先の町へ進むだろうという読みはあたり、隣町でマルタンらしき者を見掛けた者がみつかった。
 彼の燃えるような赤い髪はどこに行っても目立つのだ。
そこから先も行く先々でマルタンの痕跡を確かめながら、二人は徐々にマルタンへの距離を縮めていった。 


 
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