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064 : 治療不可能
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「マルタンさん、どうかされましたか?
ティアナの言ったことになにか思い当たることでも…?」
「…いえ…なんでもありません。
でも、ありがとう。
ティアナの言葉を伝えてくれて…」
私は部屋を出ると、そのままクロワの部屋へ向かった。
クロワは、また本を読んでいたようだ。
「クロワさん、少しお話があるのですが…」
「なんでしょう?」
クロワは私が部屋に入ると、読んでいた本を自分の後ろにそっと隠した。
「今、読まれていたのも医学書ですか?」
「……ええ、まぁ…」
クロワは、目を伏せたままそう答えた。
「ジャクリーヌのためですか?」
「え…?!な、なぜ…」
クロワの表情を見た瞬時、私は自分の推測が正しかったことを…ティアナの言葉がまたも的中していたことを実感した。
「やはり、そうだったのですね…
ジャクリーヌはただの胃炎などではなかった…
ジャクリーヌの症状は……絶望的だということなのですね?
それで、あなたはなにか手だてはないかと、医学書を読みあさっていらっしゃる…」
「マルタンさん、どうしてそのことを…?」
「……それで、ジャクリーヌの命はあとどのくらいだと?」
「お医者様のお話だと…長くてもあと一年…」
「一年…!
そんな……」
「今の医学ではどうにもならないようです。
でも…あの子はまだあんなに若いんです。
なんとか、きっとなにか治療法があるのではないかと思って、いろいろな本を読んでみたんですが、やはり、どの本を読んでも治療法はみつかりませんでした…」
「そうだったんですか…」
「でも…私、諦めたくはないんです!
なんとかジャクリーヌを助けたい…!
だって…世の中には奇蹟というものがあるじゃありませんか。
エドモンさんの胃の固まりが急に消えたことを覚えてらっしゃいますか?
どういうことがきっかけだったのかはわかりませんが、現実にあんな奇跡があったのですから、ジャクリーヌだってきっと…
私はその方法をなんとしてでもみつけなければならないのです。」
「エドモン…」
久しぶりに聞いたその名前に、小柄で痩せた男の姿が脳裏によみがえった。
あの伝説の楽器・ミューズの天才的な弾き手だ。
ティアナの言ったことになにか思い当たることでも…?」
「…いえ…なんでもありません。
でも、ありがとう。
ティアナの言葉を伝えてくれて…」
私は部屋を出ると、そのままクロワの部屋へ向かった。
クロワは、また本を読んでいたようだ。
「クロワさん、少しお話があるのですが…」
「なんでしょう?」
クロワは私が部屋に入ると、読んでいた本を自分の後ろにそっと隠した。
「今、読まれていたのも医学書ですか?」
「……ええ、まぁ…」
クロワは、目を伏せたままそう答えた。
「ジャクリーヌのためですか?」
「え…?!な、なぜ…」
クロワの表情を見た瞬時、私は自分の推測が正しかったことを…ティアナの言葉がまたも的中していたことを実感した。
「やはり、そうだったのですね…
ジャクリーヌはただの胃炎などではなかった…
ジャクリーヌの症状は……絶望的だということなのですね?
それで、あなたはなにか手だてはないかと、医学書を読みあさっていらっしゃる…」
「マルタンさん、どうしてそのことを…?」
「……それで、ジャクリーヌの命はあとどのくらいだと?」
「お医者様のお話だと…長くてもあと一年…」
「一年…!
そんな……」
「今の医学ではどうにもならないようです。
でも…あの子はまだあんなに若いんです。
なんとか、きっとなにか治療法があるのではないかと思って、いろいろな本を読んでみたんですが、やはり、どの本を読んでも治療法はみつかりませんでした…」
「そうだったんですか…」
「でも…私、諦めたくはないんです!
なんとかジャクリーヌを助けたい…!
だって…世の中には奇蹟というものがあるじゃありませんか。
エドモンさんの胃の固まりが急に消えたことを覚えてらっしゃいますか?
どういうことがきっかけだったのかはわかりませんが、現実にあんな奇跡があったのですから、ジャクリーヌだってきっと…
私はその方法をなんとしてでもみつけなければならないのです。」
「エドモン…」
久しぶりに聞いたその名前に、小柄で痩せた男の姿が脳裏によみがえった。
あの伝説の楽器・ミューズの天才的な弾き手だ。
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