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061 : 鳴き砂
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私だけでは心配だと言ってリュックもついて来た。
パスカルが住む町は、医者の診療所のある町の一つ先の町だった。
「なぁ、マルタン、神父が言ってた鳴き砂って何なんだ?」
「石英を含んだ砂のことだ。
その上を歩くと、石英の成分がこすれてきゅっきゅっと砂が鳴るんだ。」
「へぇ…そんな砂があるのか。
しかし、あんた、自分の記憶はなくしてるのに不思議とそんなことは知ってるんだな。」
「……言われてみればその通りだな。」
「やっぱり、あんたは頭を使う仕事をしてたんだな、きっと。」
「鳴き砂を知ってるくらいでそうとは言えないと思うけどな…
そんなことより早く急ごう!」
パスカルの家は、鳴き砂の砂浜沿いにあるという。
私達は、町に着くなり、鳴き砂の砂浜のことを尋ね、すぐにそこへ向かった。
砂浜沿いには数軒の家の灯かりが見える。
これなら、パスカルの家を見つけるのは簡単だろう。
しかし、あたりはもう真っ暗だ。
急がなければ…!
今、こうしているうちにもあの男の命はどうなっているかわからないのだから。
「すみません!こちらはパスカルさんのお宅でしょうか?」
「パスカルの家なら、そこだよ。」
パスカルの家は、思った通り、簡単にみつかった。
先程教えてもらった家を訪ねると、中年の女性が出て来た。 私が怪我をしたパスカルらしき男のことを話すと、女性は、急激に顔色を変え、「ちょっと待っていて下さい。」と言い残して部屋の奥へ戻って行った。
しばらく外で待っていると、女性は若い女性を伴なって家から出て来た。
「さぁ、急ぎましょう!」
私達は、隣町の診療所へ向かった。
慌てていたので、鳴き砂がどんな風に鳴いたのかさえ覚えていない。
診療所に着いた頃にはもう真夜中になっていた。
パスカルが住む町は、医者の診療所のある町の一つ先の町だった。
「なぁ、マルタン、神父が言ってた鳴き砂って何なんだ?」
「石英を含んだ砂のことだ。
その上を歩くと、石英の成分がこすれてきゅっきゅっと砂が鳴るんだ。」
「へぇ…そんな砂があるのか。
しかし、あんた、自分の記憶はなくしてるのに不思議とそんなことは知ってるんだな。」
「……言われてみればその通りだな。」
「やっぱり、あんたは頭を使う仕事をしてたんだな、きっと。」
「鳴き砂を知ってるくらいでそうとは言えないと思うけどな…
そんなことより早く急ごう!」
パスカルの家は、鳴き砂の砂浜沿いにあるという。
私達は、町に着くなり、鳴き砂の砂浜のことを尋ね、すぐにそこへ向かった。
砂浜沿いには数軒の家の灯かりが見える。
これなら、パスカルの家を見つけるのは簡単だろう。
しかし、あたりはもう真っ暗だ。
急がなければ…!
今、こうしているうちにもあの男の命はどうなっているかわからないのだから。
「すみません!こちらはパスカルさんのお宅でしょうか?」
「パスカルの家なら、そこだよ。」
パスカルの家は、思った通り、簡単にみつかった。
先程教えてもらった家を訪ねると、中年の女性が出て来た。 私が怪我をしたパスカルらしき男のことを話すと、女性は、急激に顔色を変え、「ちょっと待っていて下さい。」と言い残して部屋の奥へ戻って行った。
しばらく外で待っていると、女性は若い女性を伴なって家から出て来た。
「さぁ、急ぎましょう!」
私達は、隣町の診療所へ向かった。
慌てていたので、鳴き砂がどんな風に鳴いたのかさえ覚えていない。
診療所に着いた頃にはもう真夜中になっていた。
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