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055 : 果樹園
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私の予想通り、リュックの目的はローズの島であの甘い果物を採ることだった。
私達は、あの果物を持ってヤニックの果樹園に戻った。
「やっと帰って来たか?
もう用事はすんだのか?」
「あぁ、一応な…」
「しかし、なんだ?
すごい荷物じゃないか?
良い香りがしてるか、果物かい?」
「そうさ、あんた、これを知ってるかい?」
そう言って、リュックは袋の中からあの甘い果物を一つ、ヤニックの目の前に差し出した。
「いや…わしもこの商売を始めてそれなりに長いが、こいつは初めて見る果物だな。
しかし、本当に良い香りだ!」
「一口、食べてみなよ。」
「どれどれ…」
果物に口を付けた途端、ヤニックの表情が変わった。
「こ、これは…なんていう果物なんだ?」
「これはな………そうだ!
スィートローズっていう果物なんだ!」
「スィートローズ…!
なんて甘いんだ!
こんなに甘い果物は今まで食べたことがないぞ!
どうか、教えてくれ!この果物は一体、どこにあるんだ?!」
「そいつは、ちょっと言えないな。
ただ、俺は今回この果物を種ごとあんたに買ってもらおうと思ってもってきたんだ。」
「買う…?」
「そうだ!
この果物を育てて売れば、相当な儲けになることは間違いない。
どうだ?買う気はないか?」
「しかし…育て方はどうなんだ?
ここの環境にはあうのか?
病気には強いのか?」
「あぁ、それなら心配ない!
この果樹園で十分育つさ。」
「本当なのか?」
「あぁ…そのことなら俺が補償する。」
「そうか、なら買おう!
一体、いくらで売るっていうんだ?」
リュックは具体的な金額を紙切れに書いて、ヤニックに見せた。
「な、な、なんだって!
馬鹿を言うな!
こんな金額、とても出せやしない!
いくらなんでも高すぎる!!」
「何を言う!
この果物が実れば、あんたにどれだけの儲けが入ると思ってるんだ。
ちっとも高くなんかないぜ。
この値段でいやなら、交渉は不成立だ。
他に買いたいって奴もいることだしな…」
「し、しかし…万一、実らなかったら…」
「心配するなって!
俺は詐欺師じゃないんだ。
必ず、実るって言ってるだろ。
でも、いやなら別に無理しなくて良いんだぜ。
他の奴にもっていくだけだからな。」
私達は、あの果物を持ってヤニックの果樹園に戻った。
「やっと帰って来たか?
もう用事はすんだのか?」
「あぁ、一応な…」
「しかし、なんだ?
すごい荷物じゃないか?
良い香りがしてるか、果物かい?」
「そうさ、あんた、これを知ってるかい?」
そう言って、リュックは袋の中からあの甘い果物を一つ、ヤニックの目の前に差し出した。
「いや…わしもこの商売を始めてそれなりに長いが、こいつは初めて見る果物だな。
しかし、本当に良い香りだ!」
「一口、食べてみなよ。」
「どれどれ…」
果物に口を付けた途端、ヤニックの表情が変わった。
「こ、これは…なんていう果物なんだ?」
「これはな………そうだ!
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「スィートローズ…!
なんて甘いんだ!
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どうか、教えてくれ!この果物は一体、どこにあるんだ?!」
「そいつは、ちょっと言えないな。
ただ、俺は今回この果物を種ごとあんたに買ってもらおうと思ってもってきたんだ。」
「買う…?」
「そうだ!
この果物を育てて売れば、相当な儲けになることは間違いない。
どうだ?買う気はないか?」
「しかし…育て方はどうなんだ?
ここの環境にはあうのか?
病気には強いのか?」
「あぁ、それなら心配ない!
この果樹園で十分育つさ。」
「本当なのか?」
「あぁ…そのことなら俺が補償する。」
「そうか、なら買おう!
一体、いくらで売るっていうんだ?」
リュックは具体的な金額を紙切れに書いて、ヤニックに見せた。
「な、な、なんだって!
馬鹿を言うな!
こんな金額、とても出せやしない!
いくらなんでも高すぎる!!」
「何を言う!
この果物が実れば、あんたにどれだけの儲けが入ると思ってるんだ。
ちっとも高くなんかないぜ。
この値段でいやなら、交渉は不成立だ。
他に買いたいって奴もいることだしな…」
「し、しかし…万一、実らなかったら…」
「心配するなって!
俺は詐欺師じゃないんだ。
必ず、実るって言ってるだろ。
でも、いやなら別に無理しなくて良いんだぜ。
他の奴にもっていくだけだからな。」
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