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ルカ(聖夜月ルカ)

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048 : 枯れ井戸のウワサ

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「もしも、あの島に宝があれば、アシルはここに戻って来るに違えねぇ!
あの捕虜をいたぶって殺すためにな。
万一、奴らがあの宝を持ち逃げしたとしたら、どこかから奴らの話が必ず俺の耳に入るはずだ。
奴らはもちろん海賊仲間からもつまはじきになる。
もう海での仕事は出来ねぇ。
そんなリスクを奴らが犯すと思うか?」

「それはないと思いますぜ。
アシルの兄貴にはここに子供も奥さんもいるんだし、もし、そんなことをしたことがわかればその奥さんや子供がどんな目にあうかってこともわかってるはずですから。」

「そうだよな…
じゃあ、奴らはどうなったんだ?」

「考えられるとしたら、帰りに船になにかがあったか…」

「最近は嵐もないぞ?」

「そうですよね…
では、一体、なにが兄貴達の身に…?」



結局、それからもアシル達の行方はようとして知れなかった。







(クラリス…無事でいるんだろうか?)



あれから、もうニヶ月以上の時が流れた。
ずっと、暗い炭坑の中にいるので日にちもよくはわからないが、ファビオは毎晩夕食を食べた後、壁に刻みを付けていた。
それによると、ここへ来てもう六十数日が過ぎたことになる。

食事を運んで来た男に事情を聞こうとした時、ファビオは強かに殴りつけられた。

きっとなにか、予想外のことが起きたのだろうという推測は出来たが、それが何なのか…ファビオにはそれを知る術はなかった。



(クラリス…もしかしたら辛い目にあってるのかもしれないけどどうか頑張っておくれ!
僕も頑張るよ。
僕は、必ず、ここを出る!
二人で幸せになろう…!
父さんは身体の具合は大丈夫なんだろうか?
どうか、無理をせず、僕が帰るまで頑張って下さい。)

ファビオは宝箱の鍵をみつめ、心の中でそう呟いた。



それからもファビオはただひたすらに働いた。
 真面目に働いていれば、もしかしたら解放されるかもしれないとの希望を胸に…
だが、半年も経った頃、ファビオの希望はすでに絶望へと変化を遂げていた。 
 
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