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043 : たき火をかこんで
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「お~い、あんたら!」
後ろから威勢の良い声が聞こえ、振り返ると小柄な老人が手を振っているのが見えた。
「もしかしたら、あの爺さんじゃないか?」
「そうだろうな。」
私達の見守る中、老人は急な斜面をまるで若者のような足取りで駆け下りてくる。
「マルタンより、足は丈夫みたいだな。」
「……悪かったな。」
そんなくだらないやりとりをしているうちに、老人は私達の前に近付いて来た。
「こんな所に人が来るなんて珍しいな、あんたら、ここに何の用なんだ?」
老人は特にクロワのことをじっと見ている。
「あの…もしかしたらあなたはジョセフさんでしょうか?」
「あぁ、いかにも、わしがジョセフじゃが…あんたら、わしに用があるのか?」
「やっぱりそうか!
ちょっとあんたに聞きたいことがあってな。」
「聞きたい事?
そうか…何のことかわからんが、お客は大歓迎じゃ。
さ、うちに行こう!」
「うち?ここから近いのか?」
「あぁ、すぐそこだ!ついてきな!」
ジョセフを先頭に、私達は列をなして歩いて行く。
ジョセフとリュックは、歩きながらまるで旧知の仲のように話に花を咲かせている。
しばらく歩くと、小さな滝が目の前に現れた。
「わしの家はそこじゃ!」
「なにっ?爺さん、滝に住んでるってのか?」
「馬鹿言うな!わしは龍じゃないぞ!
ま、あんたらが驚くのも無理はないがな。」
そういうと、ジョセフは滝に向かって歩き出した。
「お、おい、爺さん…!
大丈夫なのか?」
「あぁ、黙ってわしについてきな!」
言われた通り、ジョセフの後をついていくと、滝の裏側に洞窟が隠されていた。
「すげぇ!まるで隠れ家だな!」
「その通りじゃ。
さ、ここはうるさいから、奥へ…」
ジョセフは洞窟の入口に置いてあったランプに灯を灯し、私達を洞窟の奥へと案内してくれた。
リュックは、きょろきょろとあたりを見まわしている。
「さ、そのあたりに座っておくれ。」
通された場所は、私達が入っても窮屈さを感じない広さの部屋だった。
後ろから威勢の良い声が聞こえ、振り返ると小柄な老人が手を振っているのが見えた。
「もしかしたら、あの爺さんじゃないか?」
「そうだろうな。」
私達の見守る中、老人は急な斜面をまるで若者のような足取りで駆け下りてくる。
「マルタンより、足は丈夫みたいだな。」
「……悪かったな。」
そんなくだらないやりとりをしているうちに、老人は私達の前に近付いて来た。
「こんな所に人が来るなんて珍しいな、あんたら、ここに何の用なんだ?」
老人は特にクロワのことをじっと見ている。
「あの…もしかしたらあなたはジョセフさんでしょうか?」
「あぁ、いかにも、わしがジョセフじゃが…あんたら、わしに用があるのか?」
「やっぱりそうか!
ちょっとあんたに聞きたいことがあってな。」
「聞きたい事?
そうか…何のことかわからんが、お客は大歓迎じゃ。
さ、うちに行こう!」
「うち?ここから近いのか?」
「あぁ、すぐそこだ!ついてきな!」
ジョセフを先頭に、私達は列をなして歩いて行く。
ジョセフとリュックは、歩きながらまるで旧知の仲のように話に花を咲かせている。
しばらく歩くと、小さな滝が目の前に現れた。
「わしの家はそこじゃ!」
「なにっ?爺さん、滝に住んでるってのか?」
「馬鹿言うな!わしは龍じゃないぞ!
ま、あんたらが驚くのも無理はないがな。」
そういうと、ジョセフは滝に向かって歩き出した。
「お、おい、爺さん…!
大丈夫なのか?」
「あぁ、黙ってわしについてきな!」
言われた通り、ジョセフの後をついていくと、滝の裏側に洞窟が隠されていた。
「すげぇ!まるで隠れ家だな!」
「その通りじゃ。
さ、ここはうるさいから、奥へ…」
ジョセフは洞窟の入口に置いてあったランプに灯を灯し、私達を洞窟の奥へと案内してくれた。
リュックは、きょろきょろとあたりを見まわしている。
「さ、そのあたりに座っておくれ。」
通された場所は、私達が入っても窮屈さを感じない広さの部屋だった。
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