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ルカ(聖夜月ルカ)

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043 : たき火をかこんで

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「どうして?」

「偏屈でも美人にゃ弱いってことさ!」

「まぁ~、よく言うわ!そんな心にもないことを…」

「本当さ!化粧でもして綺麗なドレスでも着たら、きっと女優みたいになるさ。
なぁ、マルタン!」

「クロワさんは今のままでも綺麗ですよ。」

「マルタンさんまで、そんな…からかわないで下さい!」

「からかってなんていませんよ。」



「私は…綺麗なんかじゃありません……」

そういってうつむくクロワの瞳には、なぜだか暗い影が差していた。



「リュック!明日は間違いなくみつけてくれるんだろうな!」

私はクロワのことから話題をそらせようと、リュックに話の矛先を向けた。



「あ……あぁ…!
まかせといてくれよ、必ずみつけるから!」

「私はもう山ん中を歩きまわるのはいやだからな!」

「若いくせになに言ってるんだ!
あんな程度でもう音をあげたのか?」

「私は山にはあまり馴染みがないようだ。」

「なら、これから俺が鍛えてやるよ!」

「いや、けっこうだ。遠慮しておくよ。」

「すみません。私も今までマルタンさんをさんざん山に連れまわしてしまいましたね。」

「あぁ…そういう意味ではないのです。
なんといいますか…どこにいるともわからない老人を探すのが…その、なんというか…」

 私は冗談で言っていたのだが、クロワは真面目に受け取ってしまったようだ。



「明日は必ず見つけるって言ってるだろ。」

「そうだわ。私とリュックで探しに行って、マルタンさんにはここで待っていていただいたらどうかしら?」

「いえ、私も一緒に行きますよ。」

「そうそう!
クロワさん、マルタンを甘やかせちゃだめだよ!」



次の朝早くに、私達はまた昨日と同じように山の中の探索を開始した。

昨日はすぐに暗くなってしまったため、今日は明るい分だけでもまだ探しやすそうな気はする。



「やっぱり、人が住むとなりゃあ、水場が近くにないと不便だからな。」

リュックはそういいながら、沢沿いに歩いて行く。



「まさか、その爺さんも野宿してるわけじゃあないだろう?
このあたりに住んでるなら小屋くらいあるはずだけどな。」

「おかしいなぁ…」

「偏屈な爺さんだからこそ、こんな山ん中に住んでるんだろ?
じゃあ、山の中でも不便な所に住んでるかもしれないぞ。」

「そうなのかなぁ…」

 
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