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ルカ(聖夜月ルカ)

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031 : 呪縛

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順調な仕事に俺は満足していたが、ただ一つ困ったのは、あの臭いきのこの処理だ。
ただでいいからといったのだが、それでもいらないと言われてしまい、俺は仕方なくそのきのこを捨てることにした。
 海に捨てれば手っ取り早いが、沈むもんじゃないだけに少し気が引けた。

どこか良い捨て場所はないかと考えていると、近くに小さな森があることに気がついた。
そういえば、昼食を食べてる時に同じテーブルに座った爺さんが妙なことを言ってたことを思い出した。

この近くには精霊の棲む森があり、そこには絶対に立ち寄ってはいけないと…
なんでも、その森に入ると精霊の祟りがあるとか精霊の怒りに触れて殺されるとかなんとか…
確かそんな話をしていたと思う。
 俺は、元々そんな話は信じない。
この世にいるのは人間だけだ。
 幽霊も精霊も、そんなものはただの幻覚だ。
 神はもしかしたらいるかもしれないけどな。

そこで俺はひらめいた!
そんな所なら、誰も怖がって入って来ないだろうし、きのこを捨ててもバレないだろうと。
 俺は暗くなってから森に向かった。

その森は、特に変わったことのないごくありふれた森だった。
精霊が棲むなんて言われてるから、もっと薄気味の悪い所かと思っていた俺はすっかり気抜けしてしまった。
俺は、背中に臭いきのこを背負い、鼻歌を歌いながら森の奥へ入って行った。

誰も入らないはずなのに、その森にはちゃんと人間が歩ける道らしきものがあり、それが森の奥の方まで続いているようだった。
このおかげで暗くても迷わなくてすみそうだ。
しかし、あまり奥まで行ってしまうのも危険かもしれない。
そう思い、俺は適当な場所できのこを捨てることにした。

その時だった!

ランプの灯に照らされて動く者をみつけたのは…

動物か?

そう思い、動きを感じた方にランプを差し向けた。



 (な、なんだ!?)

そこにいたのは数人の小さい奴らだったんだ!

 呆然とみつめる俺に、その者達は脅えることなく俺のことをじっと見ていた。



「おまえたち…」

ちび共は俺の方を見て、こそこそと何事かを話している。



(俺は、今、何を見てるんだ?!
 今日は酒も飲んじゃいないぞ!
あれが、爺さんの言ってた精霊だっていうのか?!
そんなまさか…)



そんなことを考えると、俺は、急に怖くなって来た。
 爺さんの言葉が思い出される。



「あの森に入ったものは、精霊に殺される…」

 
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