286 / 641
031 : 呪縛
2
しおりを挟む
順調な仕事に俺は満足していたが、ただ一つ困ったのは、あの臭いきのこの処理だ。
ただでいいからといったのだが、それでもいらないと言われてしまい、俺は仕方なくそのきのこを捨てることにした。
海に捨てれば手っ取り早いが、沈むもんじゃないだけに少し気が引けた。
どこか良い捨て場所はないかと考えていると、近くに小さな森があることに気がついた。
そういえば、昼食を食べてる時に同じテーブルに座った爺さんが妙なことを言ってたことを思い出した。
この近くには精霊の棲む森があり、そこには絶対に立ち寄ってはいけないと…
なんでも、その森に入ると精霊の祟りがあるとか精霊の怒りに触れて殺されるとかなんとか…
確かそんな話をしていたと思う。
俺は、元々そんな話は信じない。
この世にいるのは人間だけだ。
幽霊も精霊も、そんなものはただの幻覚だ。
神はもしかしたらいるかもしれないけどな。
そこで俺はひらめいた!
そんな所なら、誰も怖がって入って来ないだろうし、きのこを捨ててもバレないだろうと。
俺は暗くなってから森に向かった。
その森は、特に変わったことのないごくありふれた森だった。
精霊が棲むなんて言われてるから、もっと薄気味の悪い所かと思っていた俺はすっかり気抜けしてしまった。
俺は、背中に臭いきのこを背負い、鼻歌を歌いながら森の奥へ入って行った。
誰も入らないはずなのに、その森にはちゃんと人間が歩ける道らしきものがあり、それが森の奥の方まで続いているようだった。
このおかげで暗くても迷わなくてすみそうだ。
しかし、あまり奥まで行ってしまうのも危険かもしれない。
そう思い、俺は適当な場所できのこを捨てることにした。
その時だった!
ランプの灯に照らされて動く者をみつけたのは…
動物か?
そう思い、動きを感じた方にランプを差し向けた。
(な、なんだ!?)
そこにいたのは数人の小さい奴らだったんだ!
呆然とみつめる俺に、その者達は脅えることなく俺のことをじっと見ていた。
「おまえたち…」
ちび共は俺の方を見て、こそこそと何事かを話している。
(俺は、今、何を見てるんだ?!
今日は酒も飲んじゃいないぞ!
あれが、爺さんの言ってた精霊だっていうのか?!
そんなまさか…)
そんなことを考えると、俺は、急に怖くなって来た。
爺さんの言葉が思い出される。
「あの森に入ったものは、精霊に殺される…」
ただでいいからといったのだが、それでもいらないと言われてしまい、俺は仕方なくそのきのこを捨てることにした。
海に捨てれば手っ取り早いが、沈むもんじゃないだけに少し気が引けた。
どこか良い捨て場所はないかと考えていると、近くに小さな森があることに気がついた。
そういえば、昼食を食べてる時に同じテーブルに座った爺さんが妙なことを言ってたことを思い出した。
この近くには精霊の棲む森があり、そこには絶対に立ち寄ってはいけないと…
なんでも、その森に入ると精霊の祟りがあるとか精霊の怒りに触れて殺されるとかなんとか…
確かそんな話をしていたと思う。
俺は、元々そんな話は信じない。
この世にいるのは人間だけだ。
幽霊も精霊も、そんなものはただの幻覚だ。
神はもしかしたらいるかもしれないけどな。
そこで俺はひらめいた!
そんな所なら、誰も怖がって入って来ないだろうし、きのこを捨ててもバレないだろうと。
俺は暗くなってから森に向かった。
その森は、特に変わったことのないごくありふれた森だった。
精霊が棲むなんて言われてるから、もっと薄気味の悪い所かと思っていた俺はすっかり気抜けしてしまった。
俺は、背中に臭いきのこを背負い、鼻歌を歌いながら森の奥へ入って行った。
誰も入らないはずなのに、その森にはちゃんと人間が歩ける道らしきものがあり、それが森の奥の方まで続いているようだった。
このおかげで暗くても迷わなくてすみそうだ。
しかし、あまり奥まで行ってしまうのも危険かもしれない。
そう思い、俺は適当な場所できのこを捨てることにした。
その時だった!
ランプの灯に照らされて動く者をみつけたのは…
動物か?
そう思い、動きを感じた方にランプを差し向けた。
(な、なんだ!?)
そこにいたのは数人の小さい奴らだったんだ!
呆然とみつめる俺に、その者達は脅えることなく俺のことをじっと見ていた。
「おまえたち…」
ちび共は俺の方を見て、こそこそと何事かを話している。
(俺は、今、何を見てるんだ?!
今日は酒も飲んじゃいないぞ!
あれが、爺さんの言ってた精霊だっていうのか?!
そんなまさか…)
そんなことを考えると、俺は、急に怖くなって来た。
爺さんの言葉が思い出される。
「あの森に入ったものは、精霊に殺される…」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幽子さんの謎解きレポート~しんいち君と霊感少女幽子さんの実話を元にした本格心霊ミステリー~
しんいち
キャラ文芸
オカルト好きの少年、「しんいち」は、小学生の時、彼が通う合気道の道場でお婆さんにつれられてきた不思議な少女と出会う。
のちに「幽子」と呼ばれる事になる少女との始めての出会いだった。
彼女には「霊感」と言われる、人の目には見えない物を感じ取る能力を秘めていた。しんいちはそんな彼女と友達になることを決意する。
そして高校生になった二人は、様々な怪奇でミステリアスな事件に関わっていくことになる。 事件を通じて出会う人々や経験は、彼らの成長を促し、友情を深めていく。
しかし、幽子にはしんいちにも秘密にしている一つの「想い」があった。
その想いとは一体何なのか?物語が進むにつれて、彼女の心の奥に秘められた真実が明らかになっていく。
友情と成長、そして幽子の隠された想いが交錯するミステリアスな物語。あなたも、しんいちと幽子の冒険に心を躍らせてみませんか?
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる