216 / 641
022 : 来客
18
しおりを挟む
*
「心配かけてすみませんでした。」
三人が帰ってきたのは夜が明けてからのことだった。
「うわっ!お酒臭い!それに煙草の臭いもひどいわ!」
「そんなにひどいか?仕事に行く前に一っ風呂、浴びていかなきゃいかんな。」
ゴーチェは、そう言って豪快に笑った。
「クロワさん、昨夜は何があったんですか?」
「私達、昨夜は心配で眠れなかったのよ。」
「ごめんなさいね。
実は、ジョルジュさんの所に行ったらイシドールが来てて…その時にはもうかなり酔っぱらってたわ。
そして、結局、朝まで……」
「まぁ!…イシドールはお酒が好きなの?
うちでは全然飲まなかったけど…」
「いいえ…
イシドールは昨夜初めてお酒を飲んだと言ってたわ。」
「急にそんなに飲むとは…
何かあったんでしょうか?」
「ええ…そう思います。
ゴーチェさんは多分理由を知ってらっしゃると思うんですが…
きっと、昨日、職場でなにかがあったんだわ。」
「誰かに背中の痣を見られたとか、イシドールの家のことを知ってる人がいたとか…?」
「…そうね…そうかもしれないわね。
でも、とりあえず、イシドールが話してくれるのを待ちましょう…」
ゴーチェとイシドールが仕事場にでかけた後、私達はまた日課の散歩に出た。
*
「マルタンさん、今日は港の方に行ってみたいわ。
父さん達がどんな所で働いてるか見てみたいの。」
「そうか、まだ行ったことがなかったんだな。
じゃ、そうしよう!」
「では、私はその間に買い物に行って来ます。」
クロワは買い物に、そして私はマリアンヌを背負い、港の方を歩いていた。
「おいおい、見てみなよ!
真っ昼間っからいちゃついてる奴らがいるぜ!」
「お二人さん、お熱いね~!!」
男達は口笛を吹いて私達をはやしたてた。
「マルタンさん!
私達、恋人同士に見えてるみたいよ。」
「光栄だね!
君みたいな美人とそんな風に思われるなんて…」
「あの人達にもっと見せ付けてやらなきゃ!」
マリタンヌはそう言うと、私の頬にキスをした。
男達の歓声があがる。
「おいおい、調子に乗りすぎだぞ!」
「本当に単純な人達ね!」
「皆、私のことをうらやましがってるんだよ。
君がとても魅力的だから…」
「……そして、私の足のことを知ったら、離れていくのよね…」
「心配かけてすみませんでした。」
三人が帰ってきたのは夜が明けてからのことだった。
「うわっ!お酒臭い!それに煙草の臭いもひどいわ!」
「そんなにひどいか?仕事に行く前に一っ風呂、浴びていかなきゃいかんな。」
ゴーチェは、そう言って豪快に笑った。
「クロワさん、昨夜は何があったんですか?」
「私達、昨夜は心配で眠れなかったのよ。」
「ごめんなさいね。
実は、ジョルジュさんの所に行ったらイシドールが来てて…その時にはもうかなり酔っぱらってたわ。
そして、結局、朝まで……」
「まぁ!…イシドールはお酒が好きなの?
うちでは全然飲まなかったけど…」
「いいえ…
イシドールは昨夜初めてお酒を飲んだと言ってたわ。」
「急にそんなに飲むとは…
何かあったんでしょうか?」
「ええ…そう思います。
ゴーチェさんは多分理由を知ってらっしゃると思うんですが…
きっと、昨日、職場でなにかがあったんだわ。」
「誰かに背中の痣を見られたとか、イシドールの家のことを知ってる人がいたとか…?」
「…そうね…そうかもしれないわね。
でも、とりあえず、イシドールが話してくれるのを待ちましょう…」
ゴーチェとイシドールが仕事場にでかけた後、私達はまた日課の散歩に出た。
*
「マルタンさん、今日は港の方に行ってみたいわ。
父さん達がどんな所で働いてるか見てみたいの。」
「そうか、まだ行ったことがなかったんだな。
じゃ、そうしよう!」
「では、私はその間に買い物に行って来ます。」
クロワは買い物に、そして私はマリアンヌを背負い、港の方を歩いていた。
「おいおい、見てみなよ!
真っ昼間っからいちゃついてる奴らがいるぜ!」
「お二人さん、お熱いね~!!」
男達は口笛を吹いて私達をはやしたてた。
「マルタンさん!
私達、恋人同士に見えてるみたいよ。」
「光栄だね!
君みたいな美人とそんな風に思われるなんて…」
「あの人達にもっと見せ付けてやらなきゃ!」
マリタンヌはそう言うと、私の頬にキスをした。
男達の歓声があがる。
「おいおい、調子に乗りすぎだぞ!」
「本当に単純な人達ね!」
「皆、私のことをうらやましがってるんだよ。
君がとても魅力的だから…」
「……そして、私の足のことを知ったら、離れていくのよね…」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
チートをもらえるけど戦国時代に飛ばされるボタン 押す/押さない
兎屋亀吉
ファンタジー
チートはもらえるけど戦国時代に強制トリップしてしまうボタン。そんなボタンが一人の男の元にもたらされた。深夜に。眠気で正常な判断のできない男はそのボタンを押してしまう。かくして、一人の男の戦国サバイバルが始まる。『チートをもらえるけど平安時代に飛ばされるボタン 押す/押さない』始めました。ちなみに、作中のキャラクターの話し方や人称など歴史にそぐわない表現を使う場面が多々あります。フィクションの物語としてご理解ください。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
待鳥園子
恋愛
婚約者が病弱な妹を見掛けて一目惚れし、私と婚約者を交換できないかと両親に聞いたらしい。
妹は清楚で可愛くて、しかも性格も良くて素直で可愛い。私が男でも、私よりもあの子が良いと、きっと思ってしまうはず。
……これは、二人は悪くない。仕方ないこと。
けど、二人の邪魔者になるくらいなら、私が家出します!
自覚のない純粋培養貴族令嬢が腹黒策士な護衛騎士に囚われて何があっても抜け出せないほどに溺愛される話。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
デブだからといって婚約破棄された伯爵令嬢、前世の記憶を駆使してダイエットする~自立しようと思っているのに気がついたら溺愛されてました~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
デブだからといって婚約破棄された伯爵令嬢エヴァンジェリンは、その直後に前世の記憶を思い出す。
かつてダイエットオタクだった記憶を頼りに伯爵領でダイエット。
ついでに魔法を極めて自立しちゃいます!
師匠の変人魔導師とケンカしたりイチャイチャしたりしながらのスローライフの筈がいろんなゴタゴタに巻き込まれたり。
痩せたからってよりを戻そうとする元婚約者から逃げるために偽装婚約してみたり。
波乱万丈な転生ライフです。
エブリスタにも掲載しています。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる