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ルカ(聖夜月ルカ)

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012 : 竜殺し

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私達は次の朝、宿を発った。
 宿の主人の話によると、次の町まではさほど遠くないとのことだった。

私達は河に沿い、のんびりと歩いていた。



「そういえば、地図にはこの河はまるで小さな河みたいに記されていましたよね。」

「そうですね。
小さな小川程度かと思っていたら、こんなに大きな河だったんですね。」



しばらくすると、町らしきものが見えて来た。
その手前に人だかりがしている。

「なんでしょう?」

見ると一人の男がぐったりとした様子で倒れていた。

しかも、所々から血を流している。

なのに、なぜ、誰も助けようとしないのか?



「まぁ、大変!!」

人垣の隙間から横たわる男を発見したクロワが男に駆け寄ろうとした時、一人の男がクロワの肩を掴んだ。



「やめときな!
こいつに関わるとおまえさんも呪われるぜ!!」

その言葉を聞いた途端、クロワの表情が変わった。

制止した男をきっとにらみつけると、その手を払い除け、男に駆け寄った。

それを機に、周りにいた人々の様子が一変した。



「この女もきっと仲間だ!」

「呪われた奴を助けようとするなんて、ろくな奴じゃねぇ!!」

人々は口々に罵りながら、クロワと男に石つぶてを投げつける。



「やめろ!!」

私は叫んだが、人々は投石をやめようとはしない。



「もう一人いたぞ!」

「あいつも仲間だ!」

「離れろ…俺から離れてくれ…そしたら、奴らはあんたらには危害は加えない…」

男がゆっくりと顔をあげた。
その顔は、まだ少しあどけなさの残る少年だった。



「あなたのお家はどこなの?」

「離れろ…!!俺にかまうな…!」

私は黙って少年を背負った。



「は…離せ…!」

「とりあえず、逃げましょう!」

私が町の方へ走ろうとした時、背中の少年が小さな声で呟いた。



「…俺の家は…あっちの丘の向こうだ…」

私達は、石つぶてを避けるように、丘を目指して走り出した。


 
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