お題小説

006 ： 黄昏の館

１５

＊



今は、昼なのか夜なのか……
そして、ここは一体どこなのか…？

これも病のせいなのか、最近はいろいろなことがよくわからなくなってきた。

もしかしたら、私はこのまま死んでしまうのかもしれない…

それなら、それで良いさ…
私が死んだ所で悲しむ者もいないのだから…

気弱になっていたのか、私はついそんなことを口に出して言ってしまった。

ソレイユは涙を流し、そんなことはない…
私が必ずあなたを救ってみせる…
……そう言ってくれた。



なんという優しい女なのだろう…
見ず知らずの私をこんなにも献身的に介護してくれている。
 知り合ったばかりの男と姿をくらましたクロワとはえらい違いだ。

もう、あんな女のことは忘れよう…
どうせ、もともとただの旅の仲間なのだ。

これからは、ソレイユのために生きていこう…



それから、私の身体はやっと回復の兆しを見せ始めた。

これもすべてはソレイユのおかげだ。

しばらくすると、熱も下がり、それに伴って少しずつ食欲も出てきた。

 痩せて、筋肉もすっかり落ちてしまったために歩くだけでも困難を感じる。

しかし、そんな時もソレイユは私に肩を貸し、歩く手助けをしてくれた。



まさに、彼女は女神だ…
この慈愛に満ちた女神のおかげで私は一命を取り留めることが出来たのだ。



その後も、私は順調に回復を続けていった。

元気になったら彼女のために尽そう…！
私の出来うる限りのことを…
この美しき太陽の女神のために…！



私の心の中では、彼女への感謝と愛情の入り混じった感情が日増しに大きく膨らんでいた。