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006 : 黄昏の館
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「ソレイユ様…?
あの夏至祭の女王と呼ばれる方ですか?」
「そうです。
パレードはご覧になりましたか?」
「私は人混みに埋もれてよく見えなかったんですが、とてもお美しい方なんでしょうね…
皆さんの歓声を聞いていればそれは十分わかりましたわ。」
「それはもう…!
ソレイユ様はただお美しいだけではなく、神様に選ばれたお方ですから…」
「神様に……」
「そうです。
この町が豊かな実りに恵まれているのも、ソレイユ様のおかげなんです。」
「…そうなんですか…」
シスターに聞いた話から考えると、やはりマルタンは「黄昏の館」へ行ったのだとクロワは確信した。
(マルタンさんは森の中で休もうと考えて、そして黄昏の館をみつけられたんだわ、きっと…)
しかし、そうだとすると、一つだけわからないことがある。
なぜ、次の日もそれからその次の日もマルタンはクロワの前に現れないのか…と、いうことだ。
(…館でなにかあったのかしら…?
でも、何が…?
……まさか、マルタンさんの記憶が戻って…?
……でも、それにしたって、私に何も言わずにどこかに行かれるなんてことがあるかしら?
それとも、1分1秒を争う程、急なことが…?)
考えれば考えるほど、クロワの頭の中は混乱するばかりだった。
しかし、思い悩んでいても埒が明かないことは彼女にもよくわかっていた。
(…とにかく、ソレイユさんの館を訪ねてみるしかないわ!)
クロワの気持ちはしっかりと決まった。
「ソレイユ様…?
あの夏至祭の女王と呼ばれる方ですか?」
「そうです。
パレードはご覧になりましたか?」
「私は人混みに埋もれてよく見えなかったんですが、とてもお美しい方なんでしょうね…
皆さんの歓声を聞いていればそれは十分わかりましたわ。」
「それはもう…!
ソレイユ様はただお美しいだけではなく、神様に選ばれたお方ですから…」
「神様に……」
「そうです。
この町が豊かな実りに恵まれているのも、ソレイユ様のおかげなんです。」
「…そうなんですか…」
シスターに聞いた話から考えると、やはりマルタンは「黄昏の館」へ行ったのだとクロワは確信した。
(マルタンさんは森の中で休もうと考えて、そして黄昏の館をみつけられたんだわ、きっと…)
しかし、そうだとすると、一つだけわからないことがある。
なぜ、次の日もそれからその次の日もマルタンはクロワの前に現れないのか…と、いうことだ。
(…館でなにかあったのかしら…?
でも、何が…?
……まさか、マルタンさんの記憶が戻って…?
……でも、それにしたって、私に何も言わずにどこかに行かれるなんてことがあるかしら?
それとも、1分1秒を争う程、急なことが…?)
考えれば考えるほど、クロワの頭の中は混乱するばかりだった。
しかし、思い悩んでいても埒が明かないことは彼女にもよくわかっていた。
(…とにかく、ソレイユさんの館を訪ねてみるしかないわ!)
クロワの気持ちはしっかりと決まった。
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