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005 : 夏至祭の女王
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しばらくして少年はようやく泣きやんだ。
クロワがハンカチで涙を拭ってやると、少年はまたクロワに抱きついた。
少年は、このところよほど心細い想いをしていたのだろう…
少年と共に沢に行き、少年が顔を洗うのを待って私達は話を聞くことにした。
「あ…そうだわ…」
クロワは自分の背負っていた袋からパンを取り出すと少年に差し出した。
「…食べて…良いの?」
「もちろんよ。まだあるから遠慮しなくて良いのよ。」
「ありがとう!おねぇちゃん!」
泣きはらした赤い目をしながら、少年はパンにかじりついた。
しかし、半分食べた所で少年は急に食べるのをやめてしまった。
「どうしたの?
おいしくなかった?」
「……うぅん…
これは母さんに…」
「お母さん…?
…大丈夫よ、まだあるから、これはあなたがおあがりなさいな。」
クロワはそういうと、袋からもう一つパンを取りだし、少年に手渡した。
「…本当に、もらって良いの?」
「良いって言ったでしょ!
さ、食べてちょうだい!」
少年は片手にしっかりとパンを抱き締め、もう片方の手で半分のパンにかぶりついた。
とても嬉しそうな笑顔を浮かべながら…
「はい。」
少年が食べ終わると、クロワがミルクを差し出した。
少年はミルクを受けとると喉を鳴らしながら一気に飲み干した。
たったこれだけの食べ物なのに、少年の顔にはうっすらと赤みがさし、生気が戻ってきたようにも見えた。
いや、それはパンやミルクのせいではなく、クロワの優しさがそうさせたのかもしれない…
悲しみで溢れそうになっていた彼の心の負担を、クロワの愛が軽くした賜物なのかもしれない…
少年が落ち着いたのを見計らい、彼から話を聞くことにした。
話を聞き始めると、彼の顔にはまた暗い影が差した。
「…僕のせいで…お兄ちゃんが死んじゃったんだ…」
少年は一心に涙をこらえ、唇を震わせながら、絞り出すような声でそう呟いた。
「…じゃ、あのお墓はお兄さんのお墓なの?」
少年は黙ってうなずいた。
「でも、どうして…?」
「僕のせいなんだ…
僕があんなこと言ったから…」
少年は涙を止めることが出来ず、まだ腫れのひかない頬に新たな涙が伝わった…
クロワがハンカチで涙を拭ってやると、少年はまたクロワに抱きついた。
少年は、このところよほど心細い想いをしていたのだろう…
少年と共に沢に行き、少年が顔を洗うのを待って私達は話を聞くことにした。
「あ…そうだわ…」
クロワは自分の背負っていた袋からパンを取り出すと少年に差し出した。
「…食べて…良いの?」
「もちろんよ。まだあるから遠慮しなくて良いのよ。」
「ありがとう!おねぇちゃん!」
泣きはらした赤い目をしながら、少年はパンにかじりついた。
しかし、半分食べた所で少年は急に食べるのをやめてしまった。
「どうしたの?
おいしくなかった?」
「……うぅん…
これは母さんに…」
「お母さん…?
…大丈夫よ、まだあるから、これはあなたがおあがりなさいな。」
クロワはそういうと、袋からもう一つパンを取りだし、少年に手渡した。
「…本当に、もらって良いの?」
「良いって言ったでしょ!
さ、食べてちょうだい!」
少年は片手にしっかりとパンを抱き締め、もう片方の手で半分のパンにかぶりついた。
とても嬉しそうな笑顔を浮かべながら…
「はい。」
少年が食べ終わると、クロワがミルクを差し出した。
少年はミルクを受けとると喉を鳴らしながら一気に飲み干した。
たったこれだけの食べ物なのに、少年の顔にはうっすらと赤みがさし、生気が戻ってきたようにも見えた。
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悲しみで溢れそうになっていた彼の心の負担を、クロワの愛が軽くした賜物なのかもしれない…
少年が落ち着いたのを見計らい、彼から話を聞くことにした。
話を聞き始めると、彼の顔にはまた暗い影が差した。
「…僕のせいで…お兄ちゃんが死んじゃったんだ…」
少年は一心に涙をこらえ、唇を震わせながら、絞り出すような声でそう呟いた。
「…じゃ、あのお墓はお兄さんのお墓なの?」
少年は黙ってうなずいた。
「でも、どうして…?」
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