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新たな旅へ
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*
(ふふふ…うまくいった。
運はわしに味方してくれたようじゃな。)
月明かりのさしこむ窓辺で、リカルドは「秘薬の書」を開き、不敵に微笑んだ。
そのページには「年月草」なるもののことが詳しく記されていた。
年月草は、蜃気楼の森と呼ばれる場所にのみ育つとされる伝説の植物。
黒い年月草と赤い年月草があり、赤いものはそれを口にした者の年齢を若返らせる。
黒いものはその逆に年齢を重ねさせる。
多く取り過ぎると、年老いて死んでしまったり、若返り過ぎて消滅してしまうことがあるため、容量には注意が必要と記されていた。
そして、その蜃気楼の森はこの世界と別の世界の狭間に生息する不安定な場所で、しかも、その場所は常に移動しており探すのはとても困難だが、心の純粋な者にのみ、次元の裂け目が見えるということだった。
(この赤い年月草さえ手に入れれば、わしは最高の人生をやり直すことが出来る!)
そのため、リカルドはカパエルの元を訪ねたのだ。
ただ、どうやってカパエルを連れ出すかということを悩んでいたのだが、ちょうどうまい具合にミカエルを探しに行くという理由があり、リカルドはそれをうまく利用したのだった。
*
「じゃあ、行って来るね。」
「あんまり無理しちゃダメよ。
なにか困ったことがあったら、すぐに帰って来るのよ。」
「うん、わかった!」
次の朝、リカルドとカパエルは旅立った。
ミカエルの消息を探す手掛かりはなに一つないため、とりあえず山沿いに隣の国を目指す事になった。
「おじいちゃん、頑張って探そうね!」
「そうじゃな。
必ず、みつけような……」
(わしがみつけるのは、ミカエル様とは違う別のもんじゃがな…)
リカルドの顔に黒い微笑が浮かびあがる。
二人の新たな旅は始まったばかり……
~つづく
……多分…
(ふふふ…うまくいった。
運はわしに味方してくれたようじゃな。)
月明かりのさしこむ窓辺で、リカルドは「秘薬の書」を開き、不敵に微笑んだ。
そのページには「年月草」なるもののことが詳しく記されていた。
年月草は、蜃気楼の森と呼ばれる場所にのみ育つとされる伝説の植物。
黒い年月草と赤い年月草があり、赤いものはそれを口にした者の年齢を若返らせる。
黒いものはその逆に年齢を重ねさせる。
多く取り過ぎると、年老いて死んでしまったり、若返り過ぎて消滅してしまうことがあるため、容量には注意が必要と記されていた。
そして、その蜃気楼の森はこの世界と別の世界の狭間に生息する不安定な場所で、しかも、その場所は常に移動しており探すのはとても困難だが、心の純粋な者にのみ、次元の裂け目が見えるということだった。
(この赤い年月草さえ手に入れれば、わしは最高の人生をやり直すことが出来る!)
そのため、リカルドはカパエルの元を訪ねたのだ。
ただ、どうやってカパエルを連れ出すかということを悩んでいたのだが、ちょうどうまい具合にミカエルを探しに行くという理由があり、リカルドはそれをうまく利用したのだった。
*
「じゃあ、行って来るね。」
「あんまり無理しちゃダメよ。
なにか困ったことがあったら、すぐに帰って来るのよ。」
「うん、わかった!」
次の朝、リカルドとカパエルは旅立った。
ミカエルの消息を探す手掛かりはなに一つないため、とりあえず山沿いに隣の国を目指す事になった。
「おじいちゃん、頑張って探そうね!」
「そうじゃな。
必ず、みつけような……」
(わしがみつけるのは、ミカエル様とは違う別のもんじゃがな…)
リカルドの顔に黒い微笑が浮かびあがる。
二人の新たな旅は始まったばかり……
~つづく
……多分…
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