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07 知らない場所の生活
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「おい…なんでこんなに真っ暗なんだ?!」
『周りになにもないからじゃないですか?』
「なにもって…民家もないのか?」
『そのようですね…』
ギャブリエは人差し指で宙を丸くなぞる。
その瞬間、ほのかな灯かりを放つ光の玉が現れた。
「では、今夜はどこかで野宿ということになるのか?」
『そういうことになるでしょうね。』
事も無げに答える瑠璃石に、ギャブリエは軽く舌打ちをして眉をひそめた。
『ギャブリエ様、そんな品のないことはおやめ下さい。
あなたほどの地位の方には似合いませんよ。』
「うるさい!
今の私はただの魔法使いの女だ!
何をしようと私の勝手だ!」
『またそんなことを…
野宿くらいでキレてどうなさるんです。
あなたはこれからもディディエ様の安全を…』
「もとはといえば、すべてあの者が悪いのだ!
あいつは天界にいる時から私に迷惑をかけてばかりだったが、挙句の果てにこんなことになろうとは…」
ギャブリエは、がっくりと肩を落とした。
『ギャブリエ様、そんなに落ちこんでどうするんです。
あ、あそこに大きな木があります。
今夜はあの木の根元でお休みになられてはいかがですか?』
ギャブリエはその言葉に答えもせず、黙って木の方へ歩き出した。
*
『ギャブリエ様、おはようございます!
昨夜はよく眠られましたか?』
「眠れるわけがなかろう…」
その言葉が嘘でないことは、ギャブリエの目の下のクマが物語っていた。
『そ、そうだ!
ギャブリエ様!ここからは浮遊の術で進まれてはいかがです?
歩いて行くより早く着くのではありませんか?』
「それもそうだな。
ではそうしよう!」
ギャブリエの声に少し元気が感じられた。
ギャブリエが深呼吸をすると、その身体が静かに地上から30cmほどの高さに浮かび上がった。
「今夜は、絶対宿で泊まるぞ!」
その言葉と同時に、ギャブリエの身体は滑るように前へ進み出した。
ギャブリエは、街道を進み続けた。
太陽が真上にあがり、そしてそれが海の向こうに姿を消しても、止まろうとはしなかった。
*
『ギャブリエ様!』
ギャブリエの身体が急によろめいたかと思うと、一瞬でバランスを崩し、そのままばったりと倒れて動かなくなった。
『周りになにもないからじゃないですか?』
「なにもって…民家もないのか?」
『そのようですね…』
ギャブリエは人差し指で宙を丸くなぞる。
その瞬間、ほのかな灯かりを放つ光の玉が現れた。
「では、今夜はどこかで野宿ということになるのか?」
『そういうことになるでしょうね。』
事も無げに答える瑠璃石に、ギャブリエは軽く舌打ちをして眉をひそめた。
『ギャブリエ様、そんな品のないことはおやめ下さい。
あなたほどの地位の方には似合いませんよ。』
「うるさい!
今の私はただの魔法使いの女だ!
何をしようと私の勝手だ!」
『またそんなことを…
野宿くらいでキレてどうなさるんです。
あなたはこれからもディディエ様の安全を…』
「もとはといえば、すべてあの者が悪いのだ!
あいつは天界にいる時から私に迷惑をかけてばかりだったが、挙句の果てにこんなことになろうとは…」
ギャブリエは、がっくりと肩を落とした。
『ギャブリエ様、そんなに落ちこんでどうするんです。
あ、あそこに大きな木があります。
今夜はあの木の根元でお休みになられてはいかがですか?』
ギャブリエはその言葉に答えもせず、黙って木の方へ歩き出した。
*
『ギャブリエ様、おはようございます!
昨夜はよく眠られましたか?』
「眠れるわけがなかろう…」
その言葉が嘘でないことは、ギャブリエの目の下のクマが物語っていた。
『そ、そうだ!
ギャブリエ様!ここからは浮遊の術で進まれてはいかがです?
歩いて行くより早く着くのではありませんか?』
「それもそうだな。
ではそうしよう!」
ギャブリエの声に少し元気が感じられた。
ギャブリエが深呼吸をすると、その身体が静かに地上から30cmほどの高さに浮かび上がった。
「今夜は、絶対宿で泊まるぞ!」
その言葉と同時に、ギャブリエの身体は滑るように前へ進み出した。
ギャブリエは、街道を進み続けた。
太陽が真上にあがり、そしてそれが海の向こうに姿を消しても、止まろうとはしなかった。
*
『ギャブリエ様!』
ギャブリエの身体が急によろめいたかと思うと、一瞬でバランスを崩し、そのままばったりと倒れて動かなくなった。
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