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06 はじめて経験したこと
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「そういえば、おまえさん、以前はどんな仕事をしていたか覚えとるか?」
「私は……」
まさか私が天使だということは言えません。
私は一瞬考えて、ご老人に向かってこう答えました。
「え……っと。
確か、人を助けると言いますか…
仕事というよりは、その…」
「そうか、わかった!
おまえさん、宗教関係者じゃな。
神父さん…にしては、服装が少し違うような気もするが、遠くの神父だとこういう格好なのかもしれんな。
それとも、白魔導師なのか?」
「し、白魔導師?」
「そうじゃ。
魔法を使える者のことじゃ。
それも、人をいやしたり、邪悪な者をやっつける魔法をな。」
「あぁ…そういえば、私は魔法も使えた気がしますが…」
「忘れてしもうたんか?」
「……忘れたといいますか、奪われたといいますか…」
「なんと!!
ということは、おまえさんは邪悪な者に襲われて、その時に魔力を奪われ、さらに記憶も失ったということなんじゃな?!」
神様のことを「邪悪な者」にしてしまうことには抵抗がありましたが、ここで違うといえば話が面倒になりそうだったので、私はご老人の話にあわせておくことにしました。
「そ、そうなんです!その通りです!」
「それは災難じゃったのう…
それで、どうすれば、あんたの魔力は戻るんじゃ?
やっぱり、その邪悪な者を倒さにゃならんのかね?」
「いえ…その…ですね…
そ、そうだ!あるアイテムを探し出せば、なんとかなるんです!」
私は金のわっかのことを思い出し、咄嗟にそう答えました。
「あるアイテム?
それも邪悪な者に奪われたのか?!」
「ま、まぁ…、そ、そんな所です。」
実は、私自身がなくしたなんてことは言えませんから、またしても「邪悪な者」のせいにしてしまいました。
きっと神様はこんなやりとりをどこかで見てらっしゃることでしょう。
あぁ、神様の怒る顔が目に浮かぶようです…
私は顔から冷や汗が流れ出すのを感じました。
「私は……」
まさか私が天使だということは言えません。
私は一瞬考えて、ご老人に向かってこう答えました。
「え……っと。
確か、人を助けると言いますか…
仕事というよりは、その…」
「そうか、わかった!
おまえさん、宗教関係者じゃな。
神父さん…にしては、服装が少し違うような気もするが、遠くの神父だとこういう格好なのかもしれんな。
それとも、白魔導師なのか?」
「し、白魔導師?」
「そうじゃ。
魔法を使える者のことじゃ。
それも、人をいやしたり、邪悪な者をやっつける魔法をな。」
「あぁ…そういえば、私は魔法も使えた気がしますが…」
「忘れてしもうたんか?」
「……忘れたといいますか、奪われたといいますか…」
「なんと!!
ということは、おまえさんは邪悪な者に襲われて、その時に魔力を奪われ、さらに記憶も失ったということなんじゃな?!」
神様のことを「邪悪な者」にしてしまうことには抵抗がありましたが、ここで違うといえば話が面倒になりそうだったので、私はご老人の話にあわせておくことにしました。
「そ、そうなんです!その通りです!」
「それは災難じゃったのう…
それで、どうすれば、あんたの魔力は戻るんじゃ?
やっぱり、その邪悪な者を倒さにゃならんのかね?」
「いえ…その…ですね…
そ、そうだ!あるアイテムを探し出せば、なんとかなるんです!」
私は金のわっかのことを思い出し、咄嗟にそう答えました。
「あるアイテム?
それも邪悪な者に奪われたのか?!」
「ま、まぁ…、そ、そんな所です。」
実は、私自身がなくしたなんてことは言えませんから、またしても「邪悪な者」のせいにしてしまいました。
きっと神様はこんなやりとりをどこかで見てらっしゃることでしょう。
あぁ、神様の怒る顔が目に浮かぶようです…
私は顔から冷や汗が流れ出すのを感じました。
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