STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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099.時空の旅

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「正直に言えよ!
たいした額じゃなかったんだし、素直に返すなら今回は水に流してやるから。」

 「は?何、バカなこと言ってんだ?
 俺はそんな金なんか知らないって、さっきから何度も言ってんだろ!」

 「だが、店にいたのは…セルジュ、おまえだけだ。
それに、おまえは、昨夜、ゲームで負けてすってんてんだって言ってたじゃないか。」

 「馬鹿にするな!金がなくても、俺は店の金に手を着けたりなんかしねぇ!」

 「俺がこれだけ優しくしてやってるのに、まだ正直に言わないつもりなのか!!」

 「あんたもしつこいな!
 俺はそんな金、知らないって言ってるだろう!」

 「あぁ、わかった!
おまえはもうクビだ!
さっさと出て行きやがれ!
 警察に突き出されないだけ幸せだと思いな!」

 「うるせぇ!
こんな店、こっちから出ていってやらあ!」

 俺は扉を開け、壊れそうな程乱暴に閉めて店を出た。



 昨夜、この店のマスターがここに忘れて帰った財布がみつからないとかで、その金を盗ったのが俺だと決めつけられてしまい、この押し問答になったというわけだ。
だが、俺はそんなもの盗ってはいないし、そもそもそんな財布さえみかけていないんだ。
それなのに、すっかり俺が犯人だと決めつけられた…



(畜生!なんでこんなことになるんだよ…!!)



 俺はもともと飽きっぽいことと、すぐに頭に血が上るこの性格が原因で、仕事もなかなか長続きはしなかった。
だが、俺もそろそろいい年だ…いつまでもこんな生活をしていてはいけない。
そう思い、今回は自分なりにはけっこう頑張っていたんだ。

 頭に来る客がいても我慢した。
 仕事も真面目にやってたつもりだ。
カクテルの作り方もずいぶん覚えた。

ここでは、店の奥の部屋を貸してもらってたからそれも助かってた。
もうしばらく真面目に働いて、金を貯めてアパートを借りようと思っていた。
 好きなギャンブルや酒もやめ、貯金も少しずつ貯まって来ていた所、久しぶりにジャン=クロードに出会った。

 今にして思えば、この偶然の再会がまずかったんだな。
 奴と出かける場所といえば、昔からカジノと決まっていた。
 久しぶりの再会と言う事もあり、ほんの少しだけ遊ぶつもりが、カードでボロ負けしてしまった。
 数ヶ月、真面目に働いてコツコツ貯めた金がほんの数時間で消えてしまったんだ。
イライラした俺は、店に帰り浴びる程酒を飲んだ。

それで、すべてを洗い流して、また一からやり直すつもりだった…
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