STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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014.賢者の石

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「そうですね。そうします。
どうせ、明日にはこの町を離れないといけないんですから。
あ、そうだ。
ジュリアンさん、もしよろしければこれを…」

ガエタンは、ジュリアンの目の前に布袋を差し出した。



 「賢者の石ではないと思いましたが、面白そうな石をいくつかみつけたんでとっといたんです。
どうせ価値のある物ではないと思いますが、良かったらこれをどうぞ。」

 「どれどれ…」

ジュリアンは、袋の中の石を一つ一つ手に取った。



 「カルサイトが多いな。
おっ!これなんか、けっこう良い色してるじゃないか!」

 次々に石を眺めては子供のように嬉しそうに微笑むジュリアンの手が不意に止まった。



 「ガエタン!
あんた、もう掘り出してるじゃないか!」

 「……え…?
 何をです?」

 「賢者の石をだよ!」

ジュリアンは、マスカットのような色をした石をガエタンに手渡した。
もこもこと内部からわきあがったような奇妙な形をした石だった。



 「これが、賢者の石?!」

 「そうさ。これで、試験は間違いなく合格だな!」

 「これが……
確かに珍しい石だとは思っていたのです。
ですが、賢者の石というからにはもっとこう…キラキラしたものなのかと…これが賢者の石だったなんて…
ありがとうございます、ジュリアンさん!
あなたに出会わなかったら、僕はきっとこれが賢者の石だと気付くことなくここに置いて帰ったと思います。
 本当にありがとう!」

 「いや、これもすべてはあんたの運だ!
つまりあんたはツイてるってことだな。
 良かったじゃないか!
こっちのカルサイトは俺がもらって良いのか?」

 「ええ…どうぞ。
 僕には必要ないものですから。」

 「ありがとう!じゃあ、遠慮なくいただいとくぜ!
そうだ、俺も今日はもう山を降りるよ。
 一緒にめしでも食わないか?
 何、時間は取らせないさ。
この石のお礼にな。」

 「そんなお礼だなんて…お礼をしなきゃならないのは僕の方ですよ。」

 「まぁ、そう言うなよ!
 一人でめし食うのは味気ないからつきあってほしいだけなんだ。」

 二人は山を降り、町の食堂へ向かった。
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