STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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011.お菓子の家

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 「ガレット、ジャック、そろそろ起きなさい。
 朝よ。」

 優しい声に、ガレットとジャックは瞼をこすりながら目を開ける。



 「さぁ、早く顔を洗ってらっしゃい。」

 二人が顔を洗い、朝食の用意されたテーブルに付くと、母親がいつもとは少し違う顔で微笑んでいた。



 「ガレット、ジャック、お誕生日おめでとう!」

そう言って、母親は二人の目の前におそろいの手袋を差し出した。
それは、母親のマフラーをほどいて編んだものだった。



 「わぁ、ありがとう、母さん!!」

 二人はにっこり微笑んで、その手袋に指を通す。
それは、二人の小さな手にぴったりの大きさだった。



 「ごめんね。
こんなものしかあげられなくて…
 ……でも、クリスマスには絶対にケーキを買ってあげるから…我慢してね。」

 「ううん!僕ね、昨夜、ものすごく大きなケーキを食べたからケーキはもういらない!」

 「私も!
 私達、昨夜、お菓子のお家に行って、ベッドのケーキを食べたの!
もうおなかいっぱい!」

 「そうなんだ!父さんがくれた大きなケーキなんだ!ねぇ、ガレット!」

 「うんっ!」

 二人は顔を見合わせて、とても幸せそうに微笑んだ。



 「おやおや、二人は一緒にお菓子の家に行ったの?」

 「そうなの。
 森の中を歩いてたら、誰かがお菓子のお家に案内してくれたの。」

 「草むらもくしゃくしゃしなかったんだ!」

 「虫もいなかった!」

 二人はまた顔を見合わせてにっこりと笑う…




(不思議な事もあるものね…
双子だから、同じ夢を見たのかしら?)



 「そう…それは良かったわね。
さ、早く、朝ごはんを食べましょう!」



 食事が済むと、母親は町に仕事に出かける。



 「じゃあ、行って来るからね!」

 「いってらっしゃ~い!」

 二人は、いつものように母を見送る。



 「あ……!!」

 短い声を発し、ガレットが駆け出した。



 「あら、ガレット、どうしたの?」

 「母さんにお土産。
お腹がすいたら食べてね!」

そう言って、ガレットはハンカチにくるんだものを手渡し、また家に駆け戻って行った。



 (お土産……?何のことかしら?)

ハンカチに包まれたものを広げると、そこには丸い少し変わった形をした茶色いものが入っていた。
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