STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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007.迷いの森

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 「とても信じられない話だな!」

 「あんたらが初めてだよ!」

 「いや~、今だから言えるんですが、あの森から戻って来られるなんて思ってもみませんでしたよ。」

 人々は、レヴとヴェールが戻って来た事に本当に驚いているようだった。



 「あの森の中はどうなってるんです?」

 「おかしな精霊かなにかでもいましたか?」

 「そ…それはですね…」

 「も…ものすごい霧だったそうですよ!
そう、ほんの近くも見えないような真っ白な霧が立ち込めていて、それでいつもは方向感覚の優れた彼も迷ってしまったようです。」

 「そ、そうなんです!
 森に入ってしばらくすると急に霧が濃くなって、もう前も後ろもまるで見えなくなって…
むやみに歩き回っては却って道がわからなくなると思い、留まっていたのがよかったようです。
そして私を探しに来て下さったレヴさんと運良く合流出来て…すると不思議なことにその霧が一時的に晴れて、その隙にあわてて出て来たということなんです。」

 「あんたらはよほど運が良かったんだろうな。
いくつもの幸運が重なったから、出て来られたんだな。」

 「ええ…きっとそうですね。
 本当にありがたいことです。」

 咄嗟の作り話でその場を切り抜けた二人は、顔を見合わせて笑った。



 「あ、そうだ、あんたに手紙を返しとかなきゃな。
 渡すことにならなくて良かったよ。
じゃあ、俺達はこれで…」

 男達は、それぞれの家に戻って行った。



 「レヴさん、それは何の手紙なんですか?」

 「……なに…リーズへのつまらないラブレターさ。」

レヴは、その場で手紙を破り捨てた。



 「良いのですか?せっかくのラブレターを…」

 「あぁ、良いのだ。
あと数日もすればリーズに会えるのだから、手紙など必要ない。
さぁ、行こう!
 馬車を待たせてある。」

 「ええ…行きましょう!」

 二人は、馬車道へ向かいゆっくりと歩き出した。
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