STORY BOXⅡ

ルカ(聖夜月ルカ)

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007.迷いの森

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「でも、あなたには感謝しています。
 私はこの1日、どんなに幸せだったかわかりません。
ありがとう…
心から感謝しています。」

 「……ヴェールさん、私がどれほどお願いしてもだめなのですか?」

 「ええ…」

 「そうですか…
感情のままにいれば、あなたはずっと幸せでいられたものを…」

ジネットは、ヴェールから身体を離し立ちあがった。



 「では、参りましょう…」



ジネットの少し後ろをヴェールは歩いて行く。
 二人は何も話さず…たた、前だけを向いて…



「……ェー…こだ…」




 「あ、あの声は…!」



ジネットが微笑みながら振り向いた。

 「後は、あの声が道標ですね…」

 「ジネットさん…」

 「さようなら、ヴェールさん…
残念ですが、あなたはここにいなくてもきっとお幸せなのですね…」

 「ジネットさん…!」

ヴェールは、ジネットの身体を抱きしめた。
 離したくない、このままここにいたいという心の奥の本音を断ち切るように強く…



「ヴェール…!!
いないのか?」

 遠くにレヴの声が聞こえる。



 「……レヴさんがあなたを探してらっしゃいますわ…」

ジネットが、ヴェールの身体をそっと離す。



 「ジネットさん…」

 「ヴェールさん…さようなら…」

もう一度抱き締めたい衝動を押さえ、ヴェールは走り出した。
 今、一度でも振り返ったら…自分の感情に負けてしまうかもしれない…
そう思い、少しでもその場を離れようとヴェールは全力で駆け出した…
息が止まるほどの勢いで、ただ前だけをみつめて…
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