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007.迷いの森
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(ヴェール、どこにいるのだ…)
結局、あれから滝をみつけられなかったレヴは、ヴェールと別れた場所であたりが暗くなるまでヴェールを待ったが、ヴェールは戻っては来なかった。
ヴェールの進んだ方へも行ってみたが、ランプもなしに森の中を歩くのは危険だと判断し、レヴは宿に戻り、ヴェールのいなくなったことを宿の主人に話した。
「おかしいですね、滝は西の方なんですが…
それより、あの場所から東に行ったとなると、ちょっとまずいですね。」
「まずいとはどういうことです?」
「実はあのあたりには『迷いの森』と呼ばれる場所があるんです。
その森に入った者はいまだ誰一人として戻っては来ていないのです。
お連れさんがそこに行ってなけりゃあ良いのですが…」
「それなら大丈夫です。
彼は森の中で育ちましたから、どんなに入り組んだ森であっても迷うという事はありません。
そこ以外に危険な場所はありませんか?」
「迷いの森以外には、特に危険な場所はありませんが…
とにかく、明日、町の者に頼んで早速朝から捜索しましょう!」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
*
次の朝、町の有志数名と共にレヴは昨日の場所へ向かった。
大きな声でヴェールの名を呼びながら、皆で手分けして探したが、ヴェールの手掛かりは一向にみつからなかった。
「こんなに探してもいないってことは、やっぱり迷いの森に入っちまったんじゃないかなぁ…
あそこに入られたら、もうお手上げだ。
俺達じゃ、どうすることも出来ません。」
「どなたか森の事情にお詳しい方はいらっしゃいませんか?」
「あそこは、どんなに森に慣れた者でもだめなんだ。
一度入ると、二度と出て来ることは出来ない魔の森なんだ。」
「そうですか…わかりました。
では、私が行ってみます。」
「何、馬鹿なことを言ってるんだ!
何度も行ってるように、あそこは一度迷いこんだら、絶対に戻っちゃ来れないんだ!!」
レヴは、内ポケットから1通の手紙を取り出した。
「申し訳ありませんが、私が戻って来なかった時はこれを妻に届けて欲しいのです。
届け先はここに書いてあります。」
「ちょ、ちょっと待ちな!
あんた、正気なのか?
二度と戻って来れないって言ってるんだぞ。
そんなことになったら、あんたの奥さんがどんなに悲しむ事か…」
「……それでも、私は行かねばならないのです。
彼は大切な友人ですから…
それでは、よろしくお願いします。」
「ま、待てって!!」
レヴは、男の忠告に耳を貸さず、そのまま真っ直ぐ森の中へ進んで行った…
結局、あれから滝をみつけられなかったレヴは、ヴェールと別れた場所であたりが暗くなるまでヴェールを待ったが、ヴェールは戻っては来なかった。
ヴェールの進んだ方へも行ってみたが、ランプもなしに森の中を歩くのは危険だと判断し、レヴは宿に戻り、ヴェールのいなくなったことを宿の主人に話した。
「おかしいですね、滝は西の方なんですが…
それより、あの場所から東に行ったとなると、ちょっとまずいですね。」
「まずいとはどういうことです?」
「実はあのあたりには『迷いの森』と呼ばれる場所があるんです。
その森に入った者はいまだ誰一人として戻っては来ていないのです。
お連れさんがそこに行ってなけりゃあ良いのですが…」
「それなら大丈夫です。
彼は森の中で育ちましたから、どんなに入り組んだ森であっても迷うという事はありません。
そこ以外に危険な場所はありませんか?」
「迷いの森以外には、特に危険な場所はありませんが…
とにかく、明日、町の者に頼んで早速朝から捜索しましょう!」
「ありがとうございます。
よろしくお願いします。」
*
次の朝、町の有志数名と共にレヴは昨日の場所へ向かった。
大きな声でヴェールの名を呼びながら、皆で手分けして探したが、ヴェールの手掛かりは一向にみつからなかった。
「こんなに探してもいないってことは、やっぱり迷いの森に入っちまったんじゃないかなぁ…
あそこに入られたら、もうお手上げだ。
俺達じゃ、どうすることも出来ません。」
「どなたか森の事情にお詳しい方はいらっしゃいませんか?」
「あそこは、どんなに森に慣れた者でもだめなんだ。
一度入ると、二度と出て来ることは出来ない魔の森なんだ。」
「そうですか…わかりました。
では、私が行ってみます。」
「何、馬鹿なことを言ってるんだ!
何度も行ってるように、あそこは一度迷いこんだら、絶対に戻っちゃ来れないんだ!!」
レヴは、内ポケットから1通の手紙を取り出した。
「申し訳ありませんが、私が戻って来なかった時はこれを妻に届けて欲しいのです。
届け先はここに書いてあります。」
「ちょ、ちょっと待ちな!
あんた、正気なのか?
二度と戻って来れないって言ってるんだぞ。
そんなことになったら、あんたの奥さんがどんなに悲しむ事か…」
「……それでも、私は行かねばならないのです。
彼は大切な友人ですから…
それでは、よろしくお願いします。」
「ま、待てって!!」
レヴは、男の忠告に耳を貸さず、そのまま真っ直ぐ森の中へ進んで行った…
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