790 / 802
星とオリキャラ~地中の星~
4
しおりを挟む
「おばあさんはね、ここにまつわる伝説を話して下さったのよ。
ラスター、ここに埋まっているのは何だと思う?」
そう言って、セリナは穴の中に視線を落とした。
「埋まってる…?
やっぱりここにはなにか埋まってるのか!?」
「そうよ。
ここには、ね……お星様が埋まってるの…」
「なんだって!?星が?
……そんな馬鹿な…」
ラスターは、穴の底に飛び降りると、ランプであたりを照らしだし土を手に取り入念に調べた。
「セリナ、この土くれのどこが星なんだ?」
ラスターは手の平に乗せた茶色い土を差し出した。
「そうね…皆がそう思ってるよね。
お星様は、空で輝いてるものだって……」
セリナは、両手を着いて夜空を仰ぎ見る。
夜空には数え切れない程の星が煌き、大きな丸い月がその真ん中でにっこりと微笑んでいるようだった。
「流れ星に懸命に願いを架ける人間達を見て、ある時、あるお星様は考えたんですって。
流れ星の数は少なく、それを見られる者は少ない。
さらにその流れは早く、チャンスをものに出来ない者もいる。
もっとたくさんの人間が落ちついて願い事を架けられる方法はないものか…」
セリナは空を見上げながら、まるで物語の一説を読み上げるように淡々と語り続けた。
「それで…?
それで、その星は何か名案を思い付いたのか?」
ラスターは再び穴の縁に腰掛け、セリナの次の言葉を待った。
「ええ……
お星様は、もっと身近に星があれば良いんだと考えたの。そして、いつでも人間達が願い事が出来るようにと、自分の身体の一部を切りとって地上に落としたの。
でも、残念なことに事態はお星様の思惑とは違うものになっていった。
お星様はほんの少しの欠片を落としたつもりだったけど、地面は大きく揺れ、町には轟音が響き渡り、町の皆をすごく不安な気持ちにさせてしまったの。
さらに悪い事に、ちょうどその頃、大きな台風が来て町をめちゃくちゃにしてしまった。
星が落ちて来たのは不幸の前触れだったんだって…あの星は不幸の星なんだと言って、皆、この場所を怖がり誰も近寄らなくなってしまったそうよ。」
哀れな星の話を淡々と語るセリナの様子が、ラスターにはどこか不思議に感じられた。
「セリナ…」
「自分の気持ちが誤解されてしまったことで、お星様はとても悲しい気持ちになって、それ以来、自ら輝くのをやめ、暗い闇の中に隠れてしまったんですって。」
セリナはラスターのかけた声を遮り、話し続けた。
ラスター、ここに埋まっているのは何だと思う?」
そう言って、セリナは穴の中に視線を落とした。
「埋まってる…?
やっぱりここにはなにか埋まってるのか!?」
「そうよ。
ここには、ね……お星様が埋まってるの…」
「なんだって!?星が?
……そんな馬鹿な…」
ラスターは、穴の底に飛び降りると、ランプであたりを照らしだし土を手に取り入念に調べた。
「セリナ、この土くれのどこが星なんだ?」
ラスターは手の平に乗せた茶色い土を差し出した。
「そうね…皆がそう思ってるよね。
お星様は、空で輝いてるものだって……」
セリナは、両手を着いて夜空を仰ぎ見る。
夜空には数え切れない程の星が煌き、大きな丸い月がその真ん中でにっこりと微笑んでいるようだった。
「流れ星に懸命に願いを架ける人間達を見て、ある時、あるお星様は考えたんですって。
流れ星の数は少なく、それを見られる者は少ない。
さらにその流れは早く、チャンスをものに出来ない者もいる。
もっとたくさんの人間が落ちついて願い事を架けられる方法はないものか…」
セリナは空を見上げながら、まるで物語の一説を読み上げるように淡々と語り続けた。
「それで…?
それで、その星は何か名案を思い付いたのか?」
ラスターは再び穴の縁に腰掛け、セリナの次の言葉を待った。
「ええ……
お星様は、もっと身近に星があれば良いんだと考えたの。そして、いつでも人間達が願い事が出来るようにと、自分の身体の一部を切りとって地上に落としたの。
でも、残念なことに事態はお星様の思惑とは違うものになっていった。
お星様はほんの少しの欠片を落としたつもりだったけど、地面は大きく揺れ、町には轟音が響き渡り、町の皆をすごく不安な気持ちにさせてしまったの。
さらに悪い事に、ちょうどその頃、大きな台風が来て町をめちゃくちゃにしてしまった。
星が落ちて来たのは不幸の前触れだったんだって…あの星は不幸の星なんだと言って、皆、この場所を怖がり誰も近寄らなくなってしまったそうよ。」
哀れな星の話を淡々と語るセリナの様子が、ラスターにはどこか不思議に感じられた。
「セリナ…」
「自分の気持ちが誤解されてしまったことで、お星様はとても悲しい気持ちになって、それ以来、自ら輝くのをやめ、暗い闇の中に隠れてしまったんですって。」
セリナはラスターのかけた声を遮り、話し続けた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
精霊が俺の事を気に入ってくれているらしく過剰に尽くしてくれる!が、周囲には精霊が見えず俺の評価はよろしくない
よっしぃ
ファンタジー
俺には僅かながら魔力がある。この世界で魔力を持った人は少ないからそれだけで貴重な存在のはずなんだが、俺の場合そうじゃないらしい。
魔力があっても普通の魔法が使えない俺。
そんな俺が唯一使える魔法・・・・そんなのねーよ!
因みに俺の周囲には何故か精霊が頻繁にやってくる。
任意の精霊を召還するのは実はスキルなんだが、召喚した精霊をその場に留め使役するには魔力が必要だが、俺にスキルはないぞ。
極稀にスキルを所持している冒険者がいるが、引く手あまたでウラヤマ!
そうそう俺の総魔力量は少なく、精霊が俺の周囲で顕現化しても何かをさせる程の魔力がないから直ぐに姿が消えてしまう。
そんなある日転機が訪れる。
いつもの如く精霊が俺の魔力をねだって頂いちゃう訳だが、大抵俺はその場で気を失う。
昔ひょんな事から助けた精霊が俺の所に現れたんだが、この時俺はたまたまうつ伏せで倒れた。因みに顔面ダイブで鼻血が出たのは内緒だ。
そして当然ながら意識を失ったが、ふと目を覚ますと俺の周囲にはものすごい数の魔石やら素材があって驚いた。
精霊曰く御礼だってさ。
どうやら俺の魔力は非常に良いらしい。美味しいのか効果が高いのかは知らんが、精霊の好みらしい。
何故この日に限って精霊がずっと顕現化しているんだ?
どうやら俺がうつ伏せで地面に倒れたのが良かったらしい。
俺と地脈と繋がって、魔力が無限増殖状態だったようだ。
そしてこれが俺が冒険者として活動する時のスタイルになっていくんだが、理解しがたい体勢での活動に周囲の理解は得られなかった。
そんなある日、1人の女性が俺とパーティーを組みたいとやってきた。
ついでに精霊に彼女が呪われているのが分かったので解呪しておいた。
そんなある日、俺は所属しているパーティーから追放されてしまった。
そりゃあ戦闘中だろうがお構いなしに地面に寝そべってしまうんだから、あいつは一体何をしているんだ!となってしまうのは仕方がないが、これでも貢献していたんだぜ?
何せそうしている間は精霊達が勝手に魔物を仕留め、素材を集めてくれるし、俺の身をしっかり守ってくれているんだが、精霊が視えないメンバーには俺がただ寝ているだけにしか見えないらしい。
因みにダンジョンのボス部屋に1人放り込まれたんだが、俺と先にパーティーを組んでいたエレンは俺を助けにボス部屋へ突入してくれた。
流石にダンジョン中層でも深層のボス部屋、2人ではなあ。
俺はダンジョンの真っただ中に追放された訳だが、くしくも追放直後に俺の何かが変化した。
因みに寝そべっていなくてはいけない理由は顔面と心臓、そして掌を地面にくっつける事で地脈と繋がるらしい。地脈って何だ?
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移
龍央
ファンタジー
高校生紺野陸はある日の登校中、車に轢かれそうな女の子を助ける。
え?助けた女の子が神様?
しかもその神様に俺が助けられたの?
助かったのはいいけど、異世界に行く事になったって?
これが話に聞く異世界転移ってやつなの?
異世界生活……なんとか、なるのかなあ……?
なんとか異世界で生活してたら、今度は犬を助けたと思ったらドラゴン?
契約したらチート能力?
異世界で俺は何かをしたいとは思っていたけど、色々と盛り過ぎじゃないかな?
ちょっと待って、このドラゴン凄いモフモフじゃない?
平凡で何となく生きていたモフモフ好きな学生が異世界転移でドラゴンや神様とあれやこれやしていくお話し。
基本シリアス少な目、モフモフ成分有りで書いていこうと思います。
女性キャラが多いため、様々なご指摘があったので念のため、タグに【ハーレム?】を追加致しました。
9/18よりエルフの出るお話になりましたのでタグにエルフを追加致しました。
1話2800文字~3500文字以内で投稿させていただきます。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させて頂いております。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
家族もチート!?な貴族に転生しました。
夢見
ファンタジー
月神 詩は神の手違いで死んでしまった…
そのお詫びにチート付きで異世界に転生することになった。
詩は異世界何を思い、何をするのかそれは誰にも分からない。
※※※※※※※※※
チート過ぎる転生貴族の改訂版です。
内容がものすごく変わっている部分と変わっていない部分が入り交じっております
※※※※※※※※※
前世の祖母に強い憧れを持ったまま生まれ変わったら、家族と婚約者に嫌われましたが、思いがけない面々から物凄く好かれているようです
珠宮さくら
ファンタジー
前世の祖母にように花に囲まれた生活を送りたかったが、その時は母にお金にもならないことはするなと言われながら成長したことで、母の言う通りにお金になる仕事に就くために大学で勉強していたが、彼女の側には常に花があった。
老後は、祖母のように暮らせたらと思っていたが、そんな日常が一変する。別の世界に子爵家の長女フィオレンティーナ・アルタヴィッラとして生まれ変わっても、前世の祖母のようになりたいという強い憧れがあったせいか、前世のことを忘れることなく転生した。前世をよく覚えている分、新しい人生を悔いなく過ごそうとする思いが、フィオレンティーナには強かった。
そのせいで、貴族らしくないことばかりをして、家族や婚約者に物凄く嫌われてしまうが、思わぬ方面には物凄く好かれていたようだ。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界子ども食堂:通り魔に襲われた幼稚園児を助けようとして殺されたと思ったら異世界に居た。
克全
児童書・童話
両親を失い子ども食堂のお世話になっていた田中翔平は、通り魔に襲われていた幼稚園児を助けようとして殺された。気がついたら異世界の教会の地下室に居て、そのまま奴隷にされて競売にかけられた。幼稚園児たちを助けた事で、幼稚園の経営母体となっている稲荷神社の神様たちに気に入られて、隠しスキルと神運を手に入れていた田中翔平は、奴隷移送用馬車から逃げ出し、異世界に子ども食堂を作ろうと奮闘するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる