夢の硝子玉

星とオリキャラ～地中の星～

２

そんな事を考えていると、ラスターの視界から突然セリナの姿が消えた。



（えっ！？一体、どうしたんだ！）

逸る気持ちを押さえながら、ラスターは慌ててセリナのいた場所まで足を進めた。



「誰っ！？」

「うわっ！」

壁面の窪みから不意に大きな声をかけられたラスターは、一瞬、身体のバランスを崩し、崖の間際でどうにか体制を立て直す。



「危ない！！
……まぁ！ラスターじゃないの！」

ランプの光に照らし出された人物の正体に気付き、セリナは大きく目を見開いた。



「び、びっくりさせないでくれよ。
危うく落っこちる所だった。」

「だって、まさかラスターだとは思わなくて…
でも、ラスター…どうしてこんな所に？」

「それを聞きたいのはこっちの方だ。
なんだってこんな夜更けにこんな所にいるんだよ？
魔物やおかしな奴がいたらどうする気だ！」

セリナは、呑気に微笑むと、唐突にラスターの手を取った。



「大丈夫よ。この山には魔物はいないんですって。
それに、おかしな人がいたとしてもラスターがいてくれるから大丈夫ね。
みつかったんじゃ仕方ないし……さぁ、一緒に行きましょう！」

「お、おいっ、行くってどこに…」

その問いかけにもセリナは悪戯染みた笑顔を返すだけだった。
行き先も告げられぬまま、ラスターは、セリナに手をひかれ山道を歩き続けた。