夢の硝子玉

花とオリキャラ～灰色の花畑～

１１

＊



「……ここは……？」

「エリオット！気が付いたか！
俺のことがわかるか…？」

身体を起こそうとしたエリオットは、全身に走る痛みに顔をしかめた。



「あ、無理すんな。
おまえ、あそこから落ちたんだ。
頭から血が出てるけど、気分は悪くないか？」

「頭…？」

エリオットが頭に手を触れると手の平に赤い血が付いた。



「……フレイザー！僕…生きてるの…！？そんな…信じられない……」

「生きてるに決まってんだろ！
でも、打ち所が悪かったらマジで死んでたかもしれないぜ。
なんせ、あんな高い所から滑り落ちたんだからな。
俺、水筒を持ってることに気が付いてあれからすぐにおまえを探しに来たんだけどみつからなくて…
まさかと思って下を見たらおまえが倒れてるじゃないか。
死んでるんじゃないかって、どんだけ驚いたことか。」

フレイザーの口調に熱がこもる。



「君がみつけてくれなかったら大変なことになってたかもしれないね……ありがとう、フレイザー。
……そうだ！フレイザー、ミリアは！？」

エリオットは、あたりをきょろきょろと見渡した。



「ミリア？誰だ、それ？」

「もしかしたら、ミリアもまだどこかで……大変だ、早く探さないと！！」

「お、おい、エリオット、まだ寝てなきゃだめだって！」

止めようとするフレイザーの手を振り払い、エリオットは立ち上がる。



「ミリア！ミリアーーー！」

「お、おい、エリオット…ミリアって誰なんだよ？」

「良いからフレイザーも呼んで！
ミリアをみつけなきゃ！」

「呼ぶって…俺、知らないのに…」

「呼んだらきっとあそこから出られるんだ！良いから早く！」

いつになく激しい剣幕のエリオットに押され、フレイザーもミリアの名を叫び続けた。



「ミリアーーーー！」

「ミリアーーー！」

山の中に二人の大きな声がこだまする…



「エリオット、このあたりには誰もいないようだぜ。」

それでも、エリオットは叫ぶのをやめない。
そんなエリオットを見て、フレイザーも諦め顔で再びミリアの名を叫んだ。
ミリアが誰なのかはわからない。
だが、エリオットにとってその子はきっととても大切な子なのだと感じて…