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花とオリキャラ~灰色の花畑~
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「ミリア、君が落ちた崖って、もしかしてアールスの町の近くの山の…
近付いちゃいけない神聖な場所があるって言われてるあの山の崖じゃない?」
「町の名前はわからないわ。
それに、誰とも話してないから、そんな話も知らない。」
「きっと、そうだよ!
僕達は同じ山で命を落としたんだ!」
「エリオット、そんな話をそんな嬉しそうな顔をして話すのはおかしいわ。」
「それもそうだね。」
二人は顔を見合わせて笑った。
「ねぇ、ミリア…ここは天国なの?」
「ううん、違うと思う。」
「じゃあ、ここはどこ?」
「さぁ…私にもよくわからない。
でも、多分、天国じゃないわ。」
「どうしてそう思うの?」
「だって、私が天国に行ける筈がないもの。
私は今までずっと人を恨んできた。
心の中で、何度あのおじさんや従兄弟達を殺したかわからない。
……そんな真っ黒な心の私が天国になんて行けるわけないもの。
それに、ここには私しかいないし…たまに誰か来てもすぐにいなくなっちゃうの。
ずいぶん前に若い女の人が来たことがあったけど、誰かが呼びに来ていなくなっちゃったわ。」
「ミリアみたいな状況だったら、きっと皆そう思うさ。
でも、ミリアは本当は良い子なんだから、きっと天国に行けるよ。」
「いいの、私、天国になんて行きたくないから……
ここにいると安心出来るもの……
ここは退屈な場所だけど、誰も私を苛めない…それに、こんなに綺麗なお花がいっぱい咲いてるんですもの。」
「……ミリア、君はこれから先もずっとここにいるつもりなの?」
ミリアは黙って頷いた。
「だめだよ。
ここが天国じゃないんだったら、きっとここにずっといてはいけないんだ。」
「だめでも……私はここにいる……」
「どうしても?」
ミリアは俯いたまま頷いた。
「……わかったよ。
じゃあ、僕もここにいるよ。」
「えっ!?」
ミリアは驚いた表情で顔を上げ、エリオットをみつめた。
「どうしてそんなこと言うの?」
「だって、ミリアを一人残していけないもの…」
「エリオット…ありがとう…」
ミリアは、エリオットの手をそっと握り締めた。
近付いちゃいけない神聖な場所があるって言われてるあの山の崖じゃない?」
「町の名前はわからないわ。
それに、誰とも話してないから、そんな話も知らない。」
「きっと、そうだよ!
僕達は同じ山で命を落としたんだ!」
「エリオット、そんな話をそんな嬉しそうな顔をして話すのはおかしいわ。」
「それもそうだね。」
二人は顔を見合わせて笑った。
「ねぇ、ミリア…ここは天国なの?」
「ううん、違うと思う。」
「じゃあ、ここはどこ?」
「さぁ…私にもよくわからない。
でも、多分、天国じゃないわ。」
「どうしてそう思うの?」
「だって、私が天国に行ける筈がないもの。
私は今までずっと人を恨んできた。
心の中で、何度あのおじさんや従兄弟達を殺したかわからない。
……そんな真っ黒な心の私が天国になんて行けるわけないもの。
それに、ここには私しかいないし…たまに誰か来てもすぐにいなくなっちゃうの。
ずいぶん前に若い女の人が来たことがあったけど、誰かが呼びに来ていなくなっちゃったわ。」
「ミリアみたいな状況だったら、きっと皆そう思うさ。
でも、ミリアは本当は良い子なんだから、きっと天国に行けるよ。」
「いいの、私、天国になんて行きたくないから……
ここにいると安心出来るもの……
ここは退屈な場所だけど、誰も私を苛めない…それに、こんなに綺麗なお花がいっぱい咲いてるんですもの。」
「……ミリア、君はこれから先もずっとここにいるつもりなの?」
ミリアは黙って頷いた。
「だめだよ。
ここが天国じゃないんだったら、きっとここにずっといてはいけないんだ。」
「だめでも……私はここにいる……」
「どうしても?」
ミリアは俯いたまま頷いた。
「……わかったよ。
じゃあ、僕もここにいるよ。」
「えっ!?」
ミリアは驚いた表情で顔を上げ、エリオットをみつめた。
「どうしてそんなこと言うの?」
「だって、ミリアを一人残していけないもの…」
「エリオット…ありがとう…」
ミリアは、エリオットの手をそっと握り締めた。
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